前回の続きです。
社長交代するトヨタの命運握る環境車(下):日経ビジネスオンライン
問 新型プリウスを投入する上で、高騰していたガソリン価格が下落していることをどう受け止めているか。ハイブリッド車にとっては、逆風になる。
答 燃費メリットだけでお客様がハイブリッド車を購入しているのではない。プリウスは、燃費で計算すると、とても元が取れないが、すごくたくさんの人が買ってくれている。ハイブリッドは燃費だけでなく、ニ酸化炭素が、ディーゼルエンジンよりも少ない。欧州ではとても関心が高く、(乗っている人が)胸を張れるようなことがある。車種によっては、加速が滑らかといった特徴もある。合計で、「少し高くてもいいよ」と買ってもらえている。燃費だけで販売するつもりはない。ブランドにもなった。プリウスは車名だが、(「トヨタ」や「レクサス」のような)ブランドにした方がいいという人もいるくらいだ。
要するにファッションとして(という言い方が悪ければ、自己主張の道具として)買われているということですね。
これは全然普通のことで、自動車には嗜好品としての側面があり、経済合理性が全てではないという意味です。 経済合理性だけで選ぶなら、みんなヴィッツやフィットに乗るでしょうから。
ただまあ、そうは言っても経済合理性を無視する訳にもいかないですし、ホンダがTHSより低コストで作れるIMAの強みを生かして、「安いハイブリッドカーを作れ」とキャンペーンを張るのもまた当然です。
問 課題であるコスト削減は新型プリウスではどれくらい進んでいるのか。目標はどうなのか。
答 究極の姿は、普通のガソリン車並みにすることだ。ガソリン車に比べるとモーターや電池など余計なものがついているので、すぐには実現できない。トヨタの社内では、まずコストを半分に、次は4分の1、次は8分の1にするというコストダウン計画がある。それに基づいて、プリウスのコストダウンを進めている。
技術的に考えると、構造そのものを抜本的に変えないと半分にはならない。コストを半分にするのは、「もう一度ゼロから考え直せ」と言うのと同じだ。そう言い続けることで、また新しい画期的なハイブリッドシステムが生まれる。
そのことが将来普通のクルマとして、より低価格で低燃費、高性能なハイブリッドシステムを実現することにつながる。トヨタはハイブリッド車を 2010年台のできるだけ早い時期に、年間100万台普及させたい。2020年までには全車種でハイブリッドを設定したい。それを実現するには、今言っている4分の1、8分の1という目標を現実にできないと難しい。だからそれは、なんとしてもやり遂げたい。
遊星歯車機構がある分だけTHSはIMAよりコストが高くなるので、量産効果だけではその差は埋まらないでしょう。
個人的には、FFエンジン+RRモーターの形式が一番いいんじゃないかと思うんですが。 日産がマーチで採用したe-4WDと同じですね(エスティマの場合は、FF部にもTHSがある)。
e-4WDはバッテリー容量も小さく、モーターも全自動洗濯機の流用なので、適用範囲が狭かったのですが、もっと広範囲にモーターのアシストを利かせることは可能だと思います。 エンジンを止めてモーターだけで走るのも、エンジン直結のIMAに比べればやりやすいです。
前後の駆動力の協調制御をかなり高精度に行う必要がありますが、現在の技術なら問題ないでしょう。 高級車ならホンダのSH-AWDのような技術を使ってもいいし。
既存のエンジン/ミッションにあまり手を加えずに済みますし、通常のガソリン車との共用化も図れます。 大排気量車への対応も可能です。 ブレーキの負担が大きいフロントにも、回生ブレーキは必要になると思いますが。
リアサスの方がエンジンルームよりもスペースに余裕があるので、モーター容量も大きく取れるでしょう。 将来的には、リア・ブレーキは回生専用になって、インホイールモーターになるでしょう(パーキングブレーキは必要ですがこれも電動化される)。
ハイブリッド車で3周くらい周回遅れになってる日産ですが、なぜこの路線を発展させなかったのか不思議です。