ESC全車装備なら、2007年に344人の命が救われた?

  • 投稿日:
  • by
  • カテゴリ:

ESC 08年の新車装備率…国内は19%にアップ ボッシュ | Response.

「ESCの費用便益分析」を行った明海大学(千葉県)、政策研究大学院大学(東京)、ケルン大学(ドイツ)の研究によると、2007年の事故データに基づき、日本のすべての車両にESCが装備されていたと仮定すると、344人の命が救われ、1937人の重傷者と1万1126人の軽傷者を低減できたと推計している。また、ESC装備に伴う費用が946億円であるのに対し社会全体としての便益は2142億円で、その結果、費用便益比は2.3と推計しており、ボッシュではESCの普及が社会にとって非常に有益であることを示している。

2007年の交通事故死者数は5744人でした。 そのうち344人が助かったハズということかな?

本件の論文が公開されています。 以下はそれからの抜粋です。

第3章で述べたように、2007 年におけるESC の普及率は4.7%であると推計される。これをベースラインとして、ESC が存在しない(普及率がゼロ)のケースと比較し、ESC を装備していることによって、日本全体でどの程度事故が防止できたのか、また、どの程度の費用と便益が発生していたのかを推計する。
 
車両価格全体に占めるESC の装備費用が小さいので、自動車新車市場に与える影響は軽微であり、消費者余剰と生産者余剰の変化は無視できる程度であると仮定する。したがって、ESC の便益は交通事故の低減による社会的損失の減少額を計上する。一方、ESC の費用として、装備費用の総額を計上する。
 
表 6はESC によってどの程度事故が回避されたのかを推計した値である。ESC が全く装備されていなければ、2007 年にはさらに452 件の人身事故が発生していたと推計される。また、それに伴って、死者、重軽傷者はそれぞれ、16 名、91 名、523 名多くなっていたと推計される。この値と表 2に示した人身事故による損失額をそれぞれ掛け合わせることで、人身事故の低減便益を算出した。

個人的にESCは事故を減らせると考えますが、この効果の出し方はいくらなんでも杜撰なんじゃないでしょうか?
2007年に起きた死亡事故について、一つ一つESC装備の有無や、ESCの有効性について検証した結果なら話はわかります。 しかし、この論文は「獲らぬ狸の皮算用」に過ぎません。 残念ですね。