「高速1000円」は、日本経済にマイナス

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高速道路、渋滞解消の切り札は?――「渋滞学」の東大・西成教授に聞く | NIKKEI NET 日経Ecolomy:インタビュー - インタビュー

――まず「1000円高速」をどう評価しますか。
 
休日限定のうえ、ゴールデンウイークや夏休みにも適用したために、渋滞が起きるはずがない地点でも起きたり、渋滞区間がつながって大渋滞になったりした。東北道で70キロメートルの渋滞とかはあり得ない。トラック業界は、自分たちの通行料は値下げにならないうえ、時間通りに目的地に着かないと悲鳴を上げている。サービスエリアも渋滞がひどくなると、ドライバーは立ち寄らなくなるのが人間心理。「1000円」でETCの関係者は得をしたが、日本経済全体への影響はマイナスだった。
 
いったい、だれがこのアイデアを出したのだろうか。ロードプライシング(特定道路への車の過剰な乗り入れを規制する課金制度)など交通量のコントロールを専門とする周囲の学者に尋ねてみたら、誰も関与していないことが分かった。常識では考えられないことだ。

まったくもって同感です。

一方で、高速無料化については、

――しかし、無料化すると車が高速に殺到して大混乱になるのでは。
 
その懸念は常にある。中国だと、渋滞が始まるとすぐ入り口を閉鎖する。自分の目の前で車を止められた運転手が、警官と喧嘩をするのを目撃したことがある。中国のような国なら強権で渋滞防止策を取ることができるが、日本はよほどのことがないかぎり、都市の有料道路以外は入り口閉鎖をしないので、いったん渋滞し始めると防ぐのは至難だ。
 
車の殺到でどれだけ渋滞するか、詳しいシミュレーションは誰にもできない。1車線に1時間2000台を通過させるのが限界とされている。これ以上の車が押し寄せたら絶対に渋滞する。今の日本の高速には1800台ぐらいの地点がたくさんある。無料化でふだんは車を使っていない人たちが入ってくれば、大渋滞がたちどころに「見える化」してしまうことは明らかだ。(中略)
 
人の流れは長らくブラックボックスだった。駅で定点観測はしていても、流れはつかめない。それが、自動改札とETCによって入り口と出口のデータが集まり、解析が可能になってきた。しかしデータがあっても、現状では自由に使えない。鉄道も道路も、個人情報保護法がハードルになっている。個人情報が薄まるように、ある程度人数をまとめた形でデータを提供してもらえれば、と願っている。

個人的には、これだけ普及したETCを廃止するのはもったいないと思います。 むしろ、高速道路を利用するには、ETC装着を義務化すべきでしょう。
そして普段は無料にして、連休などで渋滞が酷くなる区間だけ有料にすればいいんです。

――どこがどれだけ混雑しているか、情報がまだ足りない気がします。
 
カーナビとか道路システムの研究者や企業にはそもそも誤解がある。情報を提供すれば混雑は減る、解消するという幻想だ。論文によれば、混雑情報を全体の3割以上に与えると、情報がないときより渋滞は悪化するという。人間は流れを見て行動するからだ。情報に敏感に反応することで変化して失敗する典型例が金融だ。ミクロの情報とマクロの行動をうまくつなぐ策は、いまのところない。

ホンダのインターナビのように、フローティングカー情報で時間短縮を果たしている例もあるので、「幻想」と言い切ってしまうのはどうかと思います。

でも、例えば23日まで連休として「22日がUターンのピークでしょう」とかニュースで流れると、大抵はその前日の21日が一番混むんですよね。 その次に混むのが23日で、22日はそれほどでもないなんてことも多いです。