なぜ仕事の早い人は酒や煙草にはまるのか | 実践ビジネススクール
時間割引率とは、将来を「割り引く」割合のことだ。現在の利得と将来の利得の交換比率を表すが、その比率は利子率で測るので先の例でいえば今日の100円と1年後の150円が等価だったとすれば、割引率は50%となる。
冷静に考えれば、100円より150円のほうが、価値が高い。それならば今日我慢して、1年後に150円を受け取ったほうがいいと思うはずだ。しかし、人間は誰しも、将来の利益より、目先の利益を優先する傾向を持っている。時間割引率はそんな人間の「せっかち度」を測るモノサシでもある。
貯金してから買うか、クレジットで買うかみたいなもんですね。 一度借金に懲りた人は、現金払いにこだわる傾向がありますし。
で、なんで煙草が出てくるのかというと、
まず、煙草を吸う人とまったく吸わない人を比較してみよう。現在の100円と1年後の等価は、煙草を吸う人(全喫煙者)は平均216円。対して煙草を吸わない人(全非喫煙者)の平均値は169円である。時間割引率に換算すると、煙草を吸わない人の69%に対して、吸う人は実に116%と非常に高くなっている。煙草を吸う人は全般的に、未来より現在の価値や利益をより重視しているという結果が出たことになる。
また、たまに煙草を吸う人(軽度喫煙者)よりヘビースモーカー(高度喫煙者)のほうがより時間割引率は高くなる(図参照)。
ここまでの結果から、もっとも時間割引率の低いグループは、煙草を吸ったことのない人(生涯非喫煙者)だろうと想像できる。ところが意外なことに、喫煙経験があるが、すでに禁煙に成功した人(過去喫煙者)が、もっとも時間割引率が低いのだ。1年後の等価は158円である。
なるほどね。 たとえ将来カラダに悪影響が出ても、今の快楽を優先するという意味で、時間割引率が高いということなんでしょう。
でも、「今を生きる」という考え方もアリだとは思いますけど。
せっかちであり、時間割引率が高いことそのものは、必ずしも当人にとってマイナスであるわけではない。毎日大量の煙草を吸ったり、過度の飲酒をすることで健康を害したり、寿命が短くなったとしても、「太く短く、今を楽しむ人生が理想的」と考える人にとっては、なんら問題を生まないといえるだろう。(中略)
ただ、ここにまったく問題が生じないわけではない。目先の利益に振り回される人は、結局、将来的に後悔する可能性が高いことが証明されている。実際に健康を害してから、あのとき禁煙しておけばよかったと考える。または、顧客に愛想を尽かされてから、詐欺的な商法を取ったことを悔やむ確率は非常に高い。当然ながら、「覆水盆に返らず」と考えるなら、やはり、時間割引率が高い人は注意を要するということになるだろう。
覚せい剤とかで検挙された人は再犯の可能性が高いそうですが、後悔よりも誘惑の方が強いんでしょうね。