『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』 | 一流社員が読む本
前例に固執する知性はしばしば未来予測を誤る。同じく、東条内閣が開戦決定の論拠としたのは、ドイツがソ連と休戦協定を結べば、西部戦線に戦力を集中できて、イギリスを屈服させ、その結果アメリカが継戦意欲を失うだろうという戦争終結シナリオだった。「希望的観測をいくえにも積み重ねた論理」ではあったけれど、その予測通りにことが進む可能性はゼロではなかった。開戦を決定した人々に欠けていたのは倫理性ではなく適切な推論をなす力であった。(中略)
著者は講義の中で、近代史上の事件について、中高生たちに未来がどうなるかまだわからない時点に仮想的に身を置いて、「これから起きること」について推論させるということを何度か試みさせている。歴史的知性とは、歴史的事実の堆積から「鉄の法則性」を引き出す知性のことではなく、未来がまだわからない時点においてなお蓋然性の高い推理ができる知性の働きのことであるという著者の信念に私は深く共感するのである。
この本は新聞広告で知って、読んでみたいと思っていたところです。
確かに日本国民は、単に戦争指導者に巻き込まれた被害者ではなく、戦争遂行を支持し積極的に加担したのだと思います。
でも政府や軍部が全ての情報を正しく伝えたうえで、日本国民が戦争への道を選んだ訳ではありません。
「日本人が戦争を選んだ」というよりも、「選ばされた」というべきでしょう。
国民をミスリードするのは、軍国政府だけではありません。 自民党だって民主党だって同じです。
過去から学べる教訓としては、「政府の言うことを鵜呑みにしてはならない」ということですね。