F:先に出たインサイトの値段を見てから、プリウスも慌てて20万円も値段を下げた、という話を聞いたことがあります。これは事実ですか?
大:それは、ちょっとクルマの開発に係わったことがある人間なら、誰でも分かることです。クルマには想定販売価格があり、その価格を成立させるための原価目標があります。我々はそれを常に念頭に置きながら、何年間も掛けてずっと開発していくんです。インサイトさんが思ったより安かったからと言って、いきなり土壇場で20万も下げろと言われたって、できっこありません。設計仕様が既に決まっているのですから。開発中に決めていた想定販価に対して、最後に若干の微調整が入る事はあります。それは市場の状況だとか、それこそインサイトさんも含めた競合の動向を踏まえての話ですが、それだって2、3 万円のレベルです。いくら社長が下げろと言ったって、20万なんてとてもムリです。あり得ません。
これは確かに本当の話なんですが、「仕様を変えないで、値下げするのは限界がある」というべきでしょう。
ホンダが低価格のハイブリッド車を出すと発表したのは、2007年の年末社長会見です。 その後も「200万円を切る」など情報が流れていましたので、「L」グレードの仕様を決める時間は十分にありました。
もっとも、「L」は燃費チャンピオンとして軽量化しなければならなかったので、どちらにせよ装備を簡素化する必要がありました。
インサイトの動向を見て値下げしたとしても、210万円を205万円にしたという程度なんでしょうね。