キヤノン電子・酒巻社長が面白い

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「縦方向」軽視の中間管理職は会社をつぶす:日経ビジネスオンライン

実はマレーシアには面白い法律がありまして、遅刻とか早退とかを無届けでやったら、4回目にその場で解雇できるんです。
 
3回言って直らない人間は、絶対に直りません。組織から見れば駄目な人です。そういうことを国が法律で認めているというのは、すごいですよね。もちろんマレーシアでもまともな人を解雇することは大変なんですよ。
 
前にいた人間は4回目の人間を解雇するということをきちんとやらなかったんです。それで、まともな人間もだらけちゃったんです。だから、それをちゃんと調べて解雇しなさいと言って行かせたら、4000人中40人ぐらい解雇しましたね。それからだんだん引き締まって、みんな緊張感が出てきました。

マレーシア人にもまじめな人はいるんですが、鷹揚というか、出勤時に雨が降ると出てこない人が必ずいますね。
就業規則を守らなければペナルティを与えるというのを確実にやらないと、だらけるのは確実です。 日本からの駐在者も、その辺りは厳密にやってました。

ところで、このキヤノン電子の酒巻社長。 いろんな意味でユニークな人ですね。

そういう事業部長に「どうしてお前は情報を抱え込むんだ」と聞けば「悪気があったわけじゃない」と答える。こういうときは「俺がお前を昇進させたことが間違いだった」と感じてしまいます。なかなか当人たちに思い込みがあって大変なんです。
 
でもその人が無能なのかというと、決して無能ではないんです。課長の感覚のまま、部長、事業部長、役員になってしまうことが原因です。
 
その原因が誰にあるかといえば、多くの場合は社長です。コミュニケーション・ロスがあるとき、部長、事業部長、役員、社長の人たちの責任は大きいですよ。私は90%そっちだと思いますね。
 
コミュニケーション・ロスを発生させるのは部門長クラスですよ。誰に伝えるべきか、どういうルートで伝えるべきかというのを考えないで会議をやる。取り巻きみたいなのとちょこちょことやって済ませてしまう。企業では、事業部長に情報が一番情報が集まりますから事業部長が確実に伝達してくれないとだめなんです。

結局、自分が悪いと(笑)。

酒巻社長の発想そのものは評価できる部分もあるのですが、おそらく「普通の会社人間」である管理職たちは、社長に「こうしろ」と言われたらその意図や意味をあまり考えずに、カタチだけやってしまうんじゃないかと思いますね。
オーナー社長ならともかく、所詮は親会社から天下ってきた雇われ社長だろ? そんな長いこといる訳じゃないしって。

もし全ての根底に「人間尊重」を置くならば、キヤノン電子は素晴らしい会社になるでしょう。 でも残念ながら、酒巻社長は性悪説をベースに人間を見ているようです。
人間は機械ではないし、コンピュータにもなれない。 怠惰に流れることもあれば、間違えることもある。 そういう「特徴」を認めたうえで、人間の素晴らしい能力を発揮させるのが大事だと思うんですけどね。

自社の社長がこんなヒトだったら疲れそうですが、遠巻きに見ているぶんには面白いです。