簡単に削減できるのなら、それは固定費ではない

“生産管理の鬼”トヨタも苦戦!自動車メーカー「固定費削減で業績回復」は真実か | 公認会計士・高田直芳 大不況に克つサバイバル経営戦略 | ダイヤモンド・オンライン

固定費は、「売上高の増減に比例しないコスト」と定義される。また、「削減しようと頑張ってみても、そう簡単に削減できない」という特徴がある。例えば、JALの再建策で最も紛糾している「年金問題」もその1つ。年金を含めた人件費の多くが頑強な固定費で構成されるため、あれだけ揉めているのだ。
 
それがどうして、半年間で「固定費削減により業績回復の兆しが見え始めた」と臆面もなく決算発表できるのだろうか。ストライキの1つも起きずに削減できるコストは、厳密な意味での固定費とはいわない。10年3月期の本決算では、再び腰砕けになる予感がする。

そりゃ確かに。

トヨタ、ホンダの場合は、固定費微減というところらしいですが、日産はちょっと事情が異なるようです。

09/3(09年3月期)で損失を先食いすることによって、その半年後の09/9(09年9月期)で「日産リカバリープランの効果」を強調したかったのだろう。ところが、意外なところで反比例という矛盾をさらけ出してしまった。業績回復に自信があるなら復配してもよさそうなものだが、10年3月期まで無配とするのは、さすがに良心が痛んだか。
 
そういえば、ゴーン社長の就任1年目にも「事業構造改革特別損失」という演出が行なわれ、第3回コラムでは「監査法人がよくも認めたものだ」と述べた。今回は「とうとう二の轍を踏んでしまったか」とだけ述べておきたい。ニッサンのお家芸とまではいわないが、業績回復を意図的に演出しようとすると、“固定費急減”と“業績の反比例”という、「珍妙な尾ヒレ」がつくことをお忘れなく。

各国の販売奨励策の効果があるとはいえ、なんで日産の業績がこんなに急回復したのかと思ったら、前期に損失を繰り入れていたからなんですね。

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次の〔図表 9〕は、09年9月期までのコスト構造を所与として、業績予想で公表されている売上高を達成するために、操業度率をあとどのくらいアップさせればいいかを調べたものである。〔図表 8〕を、操業度率の面から解析し直したものである。
 
トヨタが+4.3%も上昇させる必要があるのは、厳しいといえるかもしれない。ただし、他の2社と比べて、09年9月期における実際操業度率が 55.7%と低いのであるから、上昇率+4.3%への取り組みは、やむを得ない努力といえるだろう。エコカー減税の効果を、あとどれくらい取り込めるかにかかっている。
 
ホンダとニッサンの上昇率が1%に満たないのは、向こう半年間の努力は必要なし、といったところか。この消極姿勢が吉と出るか、凶と出るかは、10年3月期の業績を見てからのお楽しみ、となるのだろう。
 
なお、ニッサンの操業度率が異常に高いのは、先ほど説明した「珍妙なる尾ヒレ」の影響だ。

トヨタ、ホンダの操業度率は実態を正確に表していますね。 トヨタがなぜ赤字から抜け出せないかが如実に分かります。
ホンダの場合は、7割程度の操業度率を前提にして、いかに利益を出していくかを考えているのでしょう。