三菱自にとってPSAは「理想の花婿」?

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三菱自、“バツ2”の教訓を生かして仏PSAに接近:日経ビジネスオンライン

ある業界関係者はこの提携について「三菱は日産・ルノーに感謝しなければならない」と話す。
 
欧州では日産・ルノー連合のEVプロジェクトが注目されており、ルノーのライバルであるPSAがEVの遅れを挽回するため、三菱自との連携に向かう一因となったからだ。

へー。 そういうもんかね。

で、

補完関係から見ると、両社の組み合わせは理想的と言ってよい。環境技術では、EVで三菱自が先行するものの、ハイブリッド車(HV)ではPSAが 2011年にディーゼルHVを投入する計画にあるなど、一歩先を行く。今後は三菱自が2013年の市場投入を計画しているプラグインハイブリッド車(PHV)での協力など、相乗効果に広がりをもたせることができる。
 
地域面でもそうだ。PSAは300万台規模の世界販売のうち3分の2は西欧に依存する。南米で存在感はあるものの、北米やアジアは手薄だ。逆に三菱自はアジア、大洋州の販売比率がもっとも多く、北米にも工場を構える。世界地図をイメージすると、両社が手を結べば空白はほぼ埋まる形となる。

基本的にはそうなんだろうけど、けっして「強者連合」ではないところが苦しいよね。

仏プジョー、三菱自との提携強化に乗り出すワケ:日経ビジネスオンライン

だがアナリストらは、ルノー・日産の再現は望み薄とみている。スイスの金融大手UBS(UBS)傘下のUBS証券の吉田達生シニアアナリストは、「日産の再建が成功したのは、日産の卓越した生産・研究開発能力と、カルロス・ゴーン(現社長兼CEO)の並外れた危機管理能力の賜物。三菱自も同じ様に再建できるというのは、考えが甘い」と指摘する。(中略)
 
まず、PSAの存在感が薄い市場において、三菱自に強みがあるとは言い難い。例えば米国では、三菱自の11月の販売台数は、前年同月比43%減のわずか 2925台にとどまった。世界最大の自動車市場、中国でも、三菱自はPSAと同じく、競合他社に後れを取っている。中国同様大きな成長が見込めるインドでは、PSAは年間生産能力10万台の工場建設の決断を1年以上先送りしたままで、三菱自も出遅れている。 (中略)
 
しかも、三菱自の株が割安というわけですらない。ここ数カ月で急落したとはいえ、12月3日の急騰以前の時価総額75億ドル(約6800億円)は、マツダ(MZDAF)の約2倍。しかも、マツダの方が利益、売上高ともに上回り、恐らく車種の品揃えでも勝っている。

PSAにとっては、三菱自は「理想の花嫁」でないことは確かのようです。

PSAの出資で最も得をするのは、三菱自の株式約3分の1を保有する三菱のグループ企業かもしれない。2005年、三菱商事、三菱重工業、三菱東京 UFJ銀行の3社は、52億ドル(約4700億円)規模の三菱自救済策の一環として、約30億ドル(現在のレートで約2700億円)相当の優先株を取得した。三菱自は、来年から年間2億3000万ドル(現在のレートで約207億円)もの配当金の支払いを開始することになっているが、この支払いはかなり厳しいと予想される。
 
三菱自が新たに調達した資金は、優先株の買い戻しに使われる可能性が高い。そうすれば、三菱グループが三菱自を経営破綻に追い込むこともなく、配当金の支払いを免除して株主と対立することも避けられる。「三菱自救済の解決策として、PSAのような買い手が求められていた」と遠藤氏は言う。

三菱グループとしてはもう十分に支援したので、これからは自立して頑張ってねということなんでしょうね。