連載「12億人の潜在力 熱くなるインドの自動車産業」(中)|GAZOO.com
インド市場で今後、新規の自動車購入層の中心になると見られているのが年収20万~100万ルピー(1ルピーは約2円)の中間所得層。オートエキスポ会場で話を聞くと、こうした層の人たちが多かった。「月収は1万2千ルピー」と言う33歳の男性は「貯金は少ないが、借金をしてでも3年以内に車を買いたい」と話す。また、「マルチ・スズキ車を2年前に購入した」と言う27歳の男性は「月収が2万ルピーを超えたので、車を持てるようになった」と言う。
50万ルピー―。実はこの価格がインド市場におけるひとつの大きな基準となっている。
息子2人、妻との一家4人で来ていた42歳の男性は「韓国車を2台保有している」というが、「50万ルピー以下でいい車があれば買い替えたい。そんな車を探しに来た」と話す。「年収は36万ルピー」という34歳の男性が「この車は間違いなく売れる」と指さしたのは、米ゼネラル・モータースが発表した1200ccのハッチバック車「ビート」。価格は33万4千ルピーで、彼にとって「驚くような値段」だったからだ。(中略)
現地メーカー製の二輪車に乗って会場に来た28歳の男性に日本の自動車メーカーについての印象を問うと、「よく分からない」のひと言。「トヨタ自動車とホンダは」と問い直すと「ああ、知っている」とだけ。すでにインド市場で27年の歴史を持つマルチ・スズキは現地の人にとって“インド企業”と認識されている一方で、トヨタやホンダにとってはブランドの認知度向上がまず最初のテーマになりそうだ。その上で、年末までに発売予定のトヨタ「エティオス」と11年に発売予定のホンダ「ホンダ・ニュー・スモール・コンセプト」では、価格設定が非常に重要になる。それが50万ルピー以下であることは必須条件だ。
日本でいうと、初代カローラやサニーが発売された頃のような、モータリゼーションの段階にあるのでしょうね。
2年前はまだインドが美味しい市場なのか、低価格の小型車で商売になるのかどうか、測りかねているメーカーが多かったですが、今や中国に次ぐ主戦場の様相です。
連載「12億人の潜在力 熱くなるインドの自動車産業」(下)日本メーカーの戦略|GAZOO.com
トヨタではインド市場を「間違いなく伸びるポテンシャルが大きい市場」(岡本副会長)と位置付けており、エティオスを発売する2010年末までに販売店数を150店舗へと50店以上増やす考えだ。インド市場の重要性についてはホンダでも同じ認識を持つ。近藤広一副社長は「中国と並び、将来のポテンシャルがある大きな市場なので、われわれもプレゼンスを築いていかねばならない」と力を込める。09年末で114店舗だった販売店を、1年後には125店舗へと拡充、5年以内には全国100都市で200店舗のディーラー網を構築する考えだ。(中略)
各社ともに生産体制の強化も進む。トヨタでは南部のバンガロール近郊で320億ルピー(約640億円)を投資し、エティオス用の第2工場の建設が進行中。ホンダでは鈴鹿製作所(三重県鈴鹿市)の2・5倍の敷地面積を持つ第2工場での組立工場新設は延期しているものの、第1工場は年産10万台の能力に対して今年は7万台の生産を計画している。「ここが埋まったら、第2工場を作ればいいだけのこと」とホンダ・シール・カーズ・インディアの武田川雅博社長は話す。
とはいえ、市場の伸び率や New Small の生産を考えると、第2工場のリスタート決定のタイミングは近づいているように思います。 来期早々にも建設再開するのではないでしょうか。