北米トヨタの「シャドーキャビネット」

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またもう1点、別の視点から今回のトヨタリコール問題が巨大化した理由を指摘したい。
 
それは、アメリカの一部自動車業界関係者の間で昔から言われてきた、TMS(Toyota Motor Sales/北米トヨタ営業本部)「シャドーキャビネット」戦略だ。要するに、北米での各種事業に対して、日本人関係者は黒子に徹して、表に出るのは全てアメリカ人幹部であるという経営手法だ。
 
アメリカ人各幹部は、TMS社内、または日本本社の役員クラスの幹部と直結している。米国人幹部は影武者なのだ。米国人幹部たちは、日本本社が自分に何を望んでいるかに敏感だ。逆に言えば、そうした敏感さを有する人材がトヨタの米国人幹部となる。また近年は、TMS幹部を本社役員に登用する事例があるなど、「シャドーキャビネット」にはトヨタ流のカイゼンが施されている。だがそれでも、北米内でメディア対応を含めて対外的に、日本人幹部が登場することは稀だ。北米での新型車発表記者会見でも、日本人として唯一表に立つのは開発主査だけだ。それに比べると、アメリカンホンダ(ホンダのアメリカ営業本部)の方が、「日米幹部が対等」というイメージが強い。
 
今回のリコール問題では、「シャドーキャビネット」が現時点で実在するのかどうかは別として、アメリカ庶民から見れば「アメリカに親しい日本企業の代表格」だと長年思っていたトヨタだが、メディアを通じて見えるトヨタ像に対して「日本という文化の違う国から、遠隔操作されている印象」を抱かせてしまったと思う。「トヨタ、トヨタと日頃当たり前のように口にしてきたが、一体トヨタとは何者なのか?」。そういう印象をアメリカ人が持った。

北米トヨタのアメリカ人幹部が、本社役員の操り人形だとしたら、バッドニュースを本社にちゃんと伝えていなかったというのも分かるような気がします。