「HVを本当に商品化するかどうかは随分と長い間、議論した。自分がやらないと言ってきた張本人だし、EVを頂点技術とうたって他社に先行してきたのに説明がつくのかということもあった。ただ、足元は先進国以外でも環境に対する意識が高まっているし、そういう地域でいきなりEVというわけにもいかない」―11年度~13年度までの次期中期経営計画「ジャンプ2013」を公表した1月下旬、三菱自の益子社長はHVに参入する理由をこのように語った。新興国まで含めて環境対応車を量販しようとした時、HVも必要になるという考えが背中を押した。(中略)
ただ、中長期的に成長が期待できる新興国で環境対応車を販売しようとした時に電力供給網が十分に発達していない国では、ゼロエミッションのEVも役には立たない。益子社長はアフリカ・タンザニア連合共和国のある村にEVの寄付を申し出た際、相手側から「電気が来ていないから」と辞退を受けた経験がある。「その時の出来事が印象に残っている。『新興国には既存のエンジンの延長で使えるHVを準備しなくては』と強く感じた」という。
13年度に投入するHVは小型車に設定する方向で開発に取り組んでいる。専用車ではなく、ガソリン車と合わせてHVを設定する。燃費性能は10・15モードで40キロメートル/リットル以上を目標にしている。価格に関しては「ガソリン価格次第という側面もあるが、5年の使用期間でガソリン車との価格差を解消できるような水準を目指す」(同)。商品の経済合理性を明確に示すことによって、新興国のユーザーにも受け入れてもらえるモデルに仕上げる考えだ。
三菱自が進めようとしているHV戦略は、新興国を強く意識している点でトヨタ自動車やホンダの戦略とは異なる。トヨタやホンダは日米欧の先進国市場で揉まれながら原価低減や量産効果の確保に取り組み、段階的に販売地域を拡大しようとしている。もちろん、三菱自も商品の仕向け地として先進国を想定しているが、商品企画の段階から新興国まで視野に入れたHV戦略は珍しい。
2013年発売予定のHVで30km/Lでは話にならないのは確かです。 当然、電池はリチウムイオンでしょうしね。
でも新興国で売れる商品に仕立てるのは、かなりハードルが高いです。 チャレンジングな目標ですね。