asahi.com(朝日新聞社):ゼロスポーツが破産へ 日本郵便とのEV納入契約解除 - ビジネス・経済
電気自動車(EV)ベンチャーの「ゼロスポーツ」(岐阜県各務原市)は1日、岐阜地裁に数日中に破産を申し立てる方針を明らかにした。同社は昨年8月、郵便事業会社(JP日本郵便)と約1千台のEVの売買契約を結んだが、納期に間に合わないとして契約を解除され、資金繰りに行き詰まった。
負債総額は約11億円。従業員は残務処理の数人を除き、約70人が1日付で解雇された。EVや自動車部品などの事業は、破産申し立て後に売却先を探すことになる。
同社によると、日本郵便と契約したのはエンジン車を改造した集配用EV。今年1月と2月に計30台、来年2月に1千台を納入予定だった。
ところが、改造用エンジン車のメーカー変更を余儀なくされて納期が遅れる可能性がでたため、1月に契約解除の通知を受けた。違約金7億円の支払いも求められたという。銀行からは借入金の返済を求められ、資金繰りが悪化。民事再生法による再建も検討したが、難しいと判断した。
なんの業界でも、黎明期にはこういう例は多いですね。
大体、もはやコンバートEVでもないでしょ?
ところで、なんで軽自動車のメーカー変更をしなければならなかったのかな?
【電気自動車普及協議会】ゼロスポーツ中島社長「EV購入を3年以内に現実的にする」 | レスポンス自動車ニュース(Response.jp)
6月29日に設立された電気自動車普及協議会において、会長を務めるベネッセホールディングスの福武總一郎会長のもと、実務を取り仕切るのが代表幹事に任命されたゼロスポーツの中島徳至代表取締役社長だ。
1994年設立のゼロスポーツは、4年後には電気自動車(EV)コンバージョンに着手し、2000年にはスポーツタイプの『ゼロEVフォーミュラ』で国内最高速度276.6km/hを記録した。2001年にはスバルの軽トラック『サンバー』をベースとしたEVトラックを発売し、昨年は郵便集配用車両の実証実験を開始。今年は本格的に全国導入を始めるなど、豊富なEV経験を持っている。
あらまぁ。 もしやスバルの軽自動車撤退の余波を受けたのかしらん?
<EV会社>倒産へ 郵政が契約解除 岐阜 (毎日新聞) - Yahoo!ニュース
日本郵便広報室の話 台数や期限の問題だけではなく、予定した内容(性能や品質)の車両が納入できないという契約不履行だ。こちらが車種を変更したというのは事実ではない。
プロユースに足る性能を期待してたのかな? 2010年時点で、それを期待する方がおかしいと思うけど。
破産ゼロスポーツが郵便EVを納品できなかった本当の理由 | レスポンス自動車ニュース(Response.jp)
昨年8月の日本郵便からの発注1030台はスバル『サンバー』をベースに、集配用途に合うように現場の声を反映させた言わば日本郵便とゼロスポーツの共同開発のEVだった。
ところが9月、スバルは2011年度いっぱいでベース車両となっているサンバーの生産を停止し、ダイハツ車両のOEMに切り替える方針が判明する。年間4万台以上生産されるサンバーの供給は今後1年は続き、契約である2011年度内1030台のサンバーベース集配車両の導入には支障はないが、近い将来のベース車両変更が既定路線となった。
ここで日本郵便とゼロスポーツの間にあるアイディアが浮かび上がる。日本郵便側として、荷台下にエンジン(モーター)があるサンバーはEVに改造した場合にどうしても荷台が20cmほど上昇してしまい荷室のスペースが犠牲になる。一方で、ダイハツ『ハイゼット』はフロントエンジンのためEV改造による荷室スペース減少がない。またゼロスポーツにしても将来の車両変更による開発のやり直しを考えると、サンバーをあきらめてハイゼットベースでの1030台納品に傾いた。両者の思惑が一致し、ベース車両の変更と開発期間延長のため2011年1月と2月納品の次年度繰越に合意した。
しかし、日本郵便側で異変が起こる。契約変更の手続きをすすめるうちに重大なミスを発見したのだ。ゼロスポーツとの契約は随意契約である。日本郵政グループはいまだ完全民営化されておらず、随意契約の条件のひとつとして実証実験の実施を義務付けている。じっさい、ゼロスポーツと日本郵便は2009年度に2 台、2010年度に8台の実証車両を走らせており、随時契約の条件を満たしていたのだが、サンバーからハイゼットへの車両変更が条件外になるおそれがわかった。
日本郵政グループの随意契約といえば「かんぽの宿一括売却」騒動が思い出される。日本郵便はベンチャー企業のために危ない橋を渡ることを避け、ゼロスポーツに対してベース車両の変更と30台の納品の繰越を認めないという通知をしたのが1月18日。それは1月納品期限である21日のわずか3日前であった。
奇しくも日本郵便はこの期間、業績悪化が深刻なことが明らかになり、多方面でのリストラも検討されている。3000台の車両をEVに置き換えるというプロジェクトも最初のステップでつまずき、大幅に計画は見直されるであろう。
ゼロスポーツは、はしごを外されたハイゼットベースの車両開発も虚しく、大口契約を背景に集めた運転資金は口座ごと凍結され破産に至る。しかし、同じく EVベンチャーのナノオプトニクス・エナジー社が、1日付で解雇されたゼロスポーツ社員の雇用に名乗りをあげている。EVベンチャーの魂は受け継がれることになるのだろうか。
あー、日本郵政の自己保身で切り捨てられたのでは、そりゃ悔しいわな。