仮に今、原子炉の冷却装置が全く作動しなくなり、そのまま熱くなり続けたとしたらどうなるか、最悪のシナリオを考えてみましょう。制御棒で運転を停止していたとしても核燃料は発熱します。「低濃度核燃料」は連鎖反応のレート(断面積)を制御されているからコントロール可能ですが、もし過熱すれば核燃料自体が溶け出してしまうことが考えられます。最初に小麦粉でお話した様に比重の重いものは、重力に引っ張られて下に落ちてゆきます。
もし比重の重いウランが溶け出して一定以上の密度で集中してしまうと、せっかく制御棒の間仕切りで邪魔した「核分裂連鎖反応」が再び起きてしまいます。これが「再臨界」で、何をおいてもこれを防がねばなりません。銀紙に入った板チョコのように制御可能な核燃料が溶け出してどこかで固まるのを阻止したい。普通に物理を学んで新聞を読む個人として当初からこの「再臨界」が一番避けるべき問題と認識しています。
同意です。 水蒸気爆発も怖いですが、核爆発の方がもっと怖いです。
ほかにも
報道で微妙に混乱して見えたのは、この核燃料が「溶ける」「漏れる」あたりです。今は炉心は水面より下にあるとの情報です。それなら再臨界等が懸念される2800度以上の高温にはなりません。最悪の再臨界にはすぐは直結しないと考えて良い。逆に、一度高温でカプセルに穴が開いた核燃料があったら、冷却水の中にそれが散らばることで、環境への漏れを心配するべきです。
政府が退避範囲を半径20kmに拡大したり、バスで移動中の人の被曝が確認されたりしたことは、すべてこの「核燃料カプセルに穴が開き、それが冷却沸騰水中に混ざり、気化して圧力槽から保護槽に拡散、ヴェント=ガス抜き作業に伴って環境内に放出された可能性」を考えて、対策としてみるべきものと思います。
環境汚染については今はとりあえずおいておいて、原発を安定化させることに全力を上げるべきでしょう。