「ルネサスの主力工場は死んでいない! 計画停電はタービン発電機で乗り越える」 ルネサスエレクトロニクス・赤尾泰社長|『週刊ダイヤモンド』特別レポート|ダイヤモンド・オンライン
――日産やホンダなど自動車メーカーが必要としているマイコン(マイクロコントローラ:自動車などの電子機器を制御する基幹部品)は安全面の規格が厳しく、代替生産が難しいとされる。またNTTドコモの携帯電話用のシステムLSI(大規模集積回路)も多く受注している。今後、供給先への納品が果たせるのか。
5月末の納期については、在庫や後工程にさしかかっている製品が7割強ある。課題は残りの3割分と、どういうふうに6月以降の供給をつなげていくかだ。那珂工場は設備も情報系も損傷を受けている。したがって電気を入れればすぐ立ち上がる訳ではない。しかし同工場の製品の半分以上は、グループ内の工場、海外のファウンダリ(半導体生産受託工場)で生産できる。それには既に着手している。6月、7月になって製品がないという状況にしないために復旧をしていく。
(安全基準が厳しい)車載用でも、過去に自動車メーカーに納入した実績のある生産設備をもつファウンドリ工場がある。例えばシンガポール。かつて日立製作所や新日鉄などの合弁会社による8インチの生産ラインがある。現在は米グローバルファウンダリーズ社の工場だが、そこで急遽生産をする交渉を進めている。ラインは変わるけれど、生産のタイミングを優先するなら、実績のあるこれらの工場で作りますと自動車メーカーに説明している。自動車向けマイコンの納入実績がない工場でも、製造工程を詳細に説明して、納入させて下さいと話している。
ルネサスはマイコンでシェアが高い。しかし弊社の自動車用のマイコンの全生産量のうち、那珂工場は4分の1。残り75%は川尻工場(熊本)や西条工場(愛媛)で生産しており、代替可能なものもある。NTTドコモ向けの製品も、すでに台湾のTSMC社に委託をしており代替生産できる。すべて駄目になっていると言っている人がいるみたいだが、それは誤りだ。
全世界の自動車メーカーが、固唾を飲んで見守っているのが、ルネサスの生産再開です。
昨年夏に日産がECU用ICの供給不足で工場が止まりましたが、あれと同じです。