「2カ月後」のメルトダウン発表と内部被曝:日経ビジネスオンライン
現状では外界との間で冷却水を循環して熱を奪っているはずの格納容器の中に、あらゆる壁が取り払われた形で「核燃料 + 使用済み核燃料」が裸で過熱しており、それを冷却水で直接じゃぶじゃぶと洗っている形になっていることが懸念されます。
冷却水というのは、元来、熱源とは壁で隔てられており、熱だけを交換する役割であるはずですが、今の状態は粒子状になった「核燃料 + 使用済み核燃料」も水と一緒に外界と循環している可能性が高い。
だから「冠水(水棺)作業」は見直しせざるを得ないわけですが、ここがなんとなく記述されずに済まされている。
こういうことを「放射能を正しく恐れさせないトリッキーな表現」と指摘しなければなりません。
現在の状態は裸の核燃料の水洗い状態で、とてもではないですが楽観を許す状態ではありません。と同時に、そのシリアスな状態を東電は実にスムーズに社会に発表することにも成功してしまいました。今、大きなパニックなどは起きていません。それはそれで評価すべきことでもありますが、以前からこの連載で記していた通り「放射能慣れ」してしまった社会が、本当の核の怖さに不感症になってしまっていないか、正直なところ心配です。
知ってて隠していたのならともかく、本当にメルトダウンしていると考えていなかったのなら、東電はあまりに脳天気だと思います。
すぐに帰れると思って、着の身着のままで避難した方々も、まさかこんなことになろうとは思わなかったでしょう。
事故直後、「ただちに健康への影響はない」と繰り返し、意図的にミスリーディング(深刻な事故ではないというイメージを与えようと)していた、東電、政府、マスコミの罪は重いです。