なんとカルロス・ゴーン氏がマネジメントの極意をF氏に語る:日経ビジネスオンライン
G:これは、単純なルールです。適切な人材に権限を委譲すれば、その本人以上に厳しい要求水準を求める人はいないのです。上司でもなければ会社でもない、もちろんCEOでもない。本人自身です。自分が自分に一番厳しいのです。
権限を委譲するということは、その相手がベストを尽くし、会社のために全力で働いてくれるということなのです。ああ、但しこれには条件があります。いま言った話は、適切な人材に対してのみですよ。そうです。相手を正しく選択しなければなりません。これが1つ目。
2つ目は、マイクロマネジメント、いわゆる重箱の隅をつつくようなマネジメントはいけない、ということです。あれは一番モチベーションが下がるんです。上司があれもダメこれダメだと否定して、ああしろこうしろと細部に渡っていちいち事細かに指示を出したらどうなりますか。
間違いなくモチベーションが下がりますよね。私が担当者なのに……と思うじゃないですか。このタスクは私に任せてくれよと。組織の中で立場が上がっていく中で、私はタスクを自分で実行してきました。その結果、私はマイクロマネジメントをしない主義となったのです。
F:自分に最も厳しいのは自分自身。そしてマイクロマネジメントはしない。なるほど。
G:私は方向性を明確化することに時間を費やします。方向性を明確化する、優先順位を明確化することが重要です。もちろんコーチングはしますよ。問題があれば相談に来てください。そのまま問題を放置せず、解決策を一緒に見いだしましょう、ということです。
一番大事なのは、あなたを信頼しますという姿勢、あなたが仕事をしてくれると私は信じていますよという姿勢です。ただ、私をがっかりさせないでくださいとも言います。それでだいたいのことはうまくいくんです。
もちろんゴーンだって完全ではないですが、やはり器は大きいように思います。
それに比べると、同時期に社長が変わったトヨタとホンダの両社長は、かわいそうなくらい器が小さいです。 社長の器以上に会社は伸びないのでしょう。