自動車メーカーは、利益率の低いアジアへシフトすべきではない?

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怒涛のようにアジアにシフトする自動車産業の将来は?|野口悠紀雄 未曾有の大災害 日本はいかに対応すべきか|ダイヤモンド・オンライン

トヨタ自動車について設備投資の状況などを見ると、【図表2】のとおりだ。(中略)
 
ただし、以上で見たようなアジアへのシフトが望ましい動きなのかどうかは、疑問だ。
 
トヨタ自動車の場合、【図表2】からも見られるように、株主資本当期純利益率も総資産当期純利益率も、11年には10年に比べれば上昇しているものの、水準は低すぎる。
 
総資産当期純利益率が1.4%というのでは、安全資産である国債に投資するのと大きな差がない。リスクのある投資としては、低すぎる利益率だ(株主資本純利益率は4%程度だが、これは借り入れを増やせば上昇する指標なので、投資の際の適切な指標とは言えない)。
 
新興国での自動車需要は、低価格製品が中心になるため、低賃金で生産するにもかかわらず利益が上げられないのであろう。

野口センセって、いいとこ突いてるのに論理に飛躍があって、結論がズレるんですよね。

トヨタの利益率が低いのは、過剰な国内生産能力が重荷となっている(国内の減価償却費が、新しい工場が多い北米の3倍以上ある)からでしょう。
モデルミックスの変化(スモールカーへのシフト、レクサスの販売不振)も確かに影響はあるでしょうが、それは他のメーカーも同じ条件です。

トヨタは日米欧の先進国で、重点的にシェアの拡大をはかっていたので、新興国への取り組みはむしろ遅れています。
「新興国で低賃金で生産するにもかかわらず利益が上げられない」というのは、トヨタの現時点の業績に対するインパクトは、むしろ小さいのではないでしょうか?