『ストーリーとしての競争戦略』への批判について思うこと|楠木建 ようするにこういうこと| DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー |ダイヤモンド・オンライン
しかし、すぐれた戦略をつくるために一義的に必要なのは、スキルではありません。それは「センス」としか言いようのないものです。英会話や財務諸表の読み方、現在企業価値の計算であれば、スキルを身につければできるようになるかもしれません。ところが、こうした「スキルの発想」ではいかんともしがたいものが、戦略を構想するという仕事なのです。(中略)
だとしたら経営には何ができるか。直接的にセンスを教えることはできませんが、センスが育つ環境を整えることはできます。その第一歩は、組織の中で「センスがある人」をきちんと見極めるということです。
センスがあるのが誰かをわかっていて、その人に「商売の塊」を任せ、シンセシスをやらせている会社では、好循環が生まれます。その人の一挙手一投足に注目が集まり、センスがあるとはどういうことか、周りの人にも見えてきます。自然と触発されて、自分の潜在的なセンスに気づき、センスが育つ可能性が増します。
「センスがいい」とはどういうことか。だれも一言では言語化できません。センスは千差万別です。一つひとつの「センスがいい」(と同時に「センスが悪い」)戦略の事例に当たり、その文脈で「センスの良さ」を読み解き、掴み取っていく。僕はセンスを磨くためにはそうした帰納的方法しかあり得ないと確信しています。
「スキル」=後天的に獲得、「センス」=先天的に生まれ持っているもの、というイメージがあります。
実際には「センス」も後天的に磨くことはできると思いますが。
ストーリーとしての競争戦略 ―優れた戦略の条件 (Hitotsubashi Business Review Books)
posted with amazlet at 11.10.17
楠木 建
東洋経済新報社
売り上げランキング: 282
東洋経済新報社
売り上げランキング: 282