KT法では本質に迫れない?

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「後継者は前任者と同じことをしてはならない」~ミスターGT-Rが残した一言:日経ビジネスオンライン

F:ところで水野さん。仕事をしていく上で大切な事とは何ですか。
 
水:大切なのは、原点を見極める自分をつくること。本質を知るとか原点を知ると言っても、本当に本質や原点を見極められる人間はそう世の中にいっぱいいない。やり方論と、今こうしているからこうだとかいう表層のことばかりで。そんなのは原点でも本質でもない。ここに問題があるからこうしましょうと、これは決して本質ではない。

でもねえ、全くのフリーハンドでできる仕事なんてそうはなくて、いろんなしがらみがある中で調整しながら進めることが多いです。

そこで「そもそも~どうなのよ」とか「本来はこうあるべきでしょう」みたいに原理原則を振りかざす「原理主義者」が出てきても、KY扱いされてチョンということになります。

でもみんな日常の業務ってこんな感じでやっていない?今はこうです。良いところはこうです。悪いところはこうです。だからこうします。今やっていることが是か非かも問わずに、今やっていることをホイホイ肯定して、それでいい点、悪い点を評価してこうしましたって。
 
これじゃ何もないよ。今やっていることが、そもそも本質と言えるのか。これは20年前につくったやり方だけど、今の時代にも合っているかどうか。ほとんどの人の今やっている仕事には、こうした精査がないのよ。今がこうだ、問題がこうだ、利点はこうだ、欠点はこうだだけ。
 
だから次にこうします。そんなのばっかり。やり方の改訂をやってばかり。ほとんどの企業のほとんどの業務はこのパターン。本質を見ていない。原点を見ていない。実はこれが世間で良いと言われているKT法(アメリカのケプナー博士とトリゴー博士が体系化した発想法。「現況把握」「問題分析」「散在的問題分析」「決定分析」の4つのプロセスを経て問題解決を図る)なのよ。俺、KT法は嫌いなんだ。
 
F:KT法。NASAか何かからきた発想法でしたっけ。

水:KT法には本質がどこにあるかというさかのぼりがないのよ。現状と問題分析と今後の対策しかないわけ。これはやり方論の改良にすぎないわけ。俺は間違っていると思う。こんなものの研修を受けちゃうから、本質に戻れなくなるのよ。
 
だって簡単でしょう。だいたいどこの会社だって提案書を見てごらんよ。みんな現状、問題点、ここから伸ばすべき改良点が書いてある。だから今後こうしますと、みんながみんなこういう提案書を出しているじゃない。
 
もともと現状を肯定するか否定するかなんてどこにもないわけだよ。誰も本質に戻っていないのよ。でも、実際は企業ってほとんどこれで動いている。

自動車会社にも昔からKT法に熱心な会社がありましたね。 ホンダとか。

でも、SAするなかで「あるべき姿」をちゃんと置いて考えるのが当然なんで、「KT法では本質に迫れない」というのは単にKT法のことを知らないだけの話ではないかと思います。