「中国市場以外で発売しても、売れるんじゃないの」。中国・広州で2012年上半期に発売予定のクルマを見た自動車ジャーナリストたちは普段のシニカルさを忘れ、驚きの声を上げていた。
このクルマの名前は「啓辰(ヴェヌーシア) D50」。日産自動車と中国・東風汽車の合弁企業、東風日産が2012年上半期に発売する。これまで東風日産は出資元である日産や東風のブランドのクルマを販売してきた。東風日産ブランドのクルマを販売するのは、初の試みとなる。
目を引くのはD50の堂々としたたたずまいだ。中国ではクルマを初めて買う人が多く、所有すること自体がステータス。そうした中国人の好みに合わせた存在感のあるデザインにしたという。
日本人から見ると、ダサく見えるんですけどね。
なんか80年代の日産車みたいだね。 ある意味、お家芸かもしれません。
昨日のこと。中村史郎さんにお会いしたのでデザインの話など。中村さんは人物なので回りくどい表現でなく失礼を承知で「日本でのデザイン評価が高くないですけれど」と直球を投げてみました。果たしていかに。「世界市場を考えたデザインに取り組んできました。結果、どこの国でも高い評価を受けています」。
確かにヨーロッパを見ると日本勢の中でダントツ。デュアリスとジュークはフル生産。アメリカもアルティマが人気急上昇で、昨年はアコードを抜いてカムリに迫るイキオイ。ローグ(デュアリスの兄弟)とエントリーカーのヴァーサも売れている。中国市場だって絶好調だ。中でもティアナの売れ行きたるや驚くほど。
どこの地域でもデザインの評価が高い。日産の一人勝ちに近い状態。顕著なのは中国で、トヨタやホンダの場合、アメリカンテイストをそのまま持ち込んだのに対し、日産だけ中国市場向けにしている。カムリやアコードを相手にしないほどのティアナ人気なのだ。これらは全て中村さんの采配と言っていい。
中国市場も、米国留学からの帰国者が買い求めた時代と違い、今は精神的には未開人(と言っては言い過ぎか)の成金が購入している訳ですからね。