強気の自動車、「反転攻勢」シナリオの現実味 :日経ヴェリタスセレクト:マネー :日本経済新聞
「(震災前の)成長路線に復帰する」。1月31日に決算を発表したホンダ。最高財務責任者(CFO)を務める池史彦専務執行役員は、今後の収益見通しをこう語った。4~12月期の連結営業利益は前年同期比77%減の1193億円。震災やタイ洪水で相次いだ減産を反映した厳しい数字だが、注目すべきは1~3月期の見通し。世界販売は16%増の100万台、営業利益は74%増の806億円。いずれも震災後の四半期で初めて前年同期比プラスに転じる。
さらに、決算会見で報道陣を驚かせたのが、来期の世界販売計画を巡る「400万台を超える水準を目指していきたい」(池専務)との発言だ。過去最高の08年3月期(392万台)を上回る。一部メディアで伊東孝紳社長が「意気込み」として示していた数字を、CFOが追認した格好だ。
ゴールドマン・サックス証券の湯沢康太ヴァイス・プレジデントは1~3月期の営業利益見通しにタイ洪水の影響を足し戻したり、季節要因を加味したりすることで、ホンダが100万台販売したときの営業利益の実力値を1300億~1400億円と試算する。年換算すると5500億円前後となり、今期の通期見通しの2.8倍近くに達する。
為替が78円/$で、四半期あたり1300億~1400億円というのは、かなり良いレベルです。 以前は「世界生産340万台と90円/$で1000億円」と言ってましたからね。
これは原価低減ももちろんですが、生産台数の回復が最も大きいです。 自動車産業というのは労働集約型であると同時に装置産業なので、生産台数の増減で利益が大きく変動します。
自動車各社が強気な背景には、世界二大市場の中国と米国の販売が堅調に推移するとの見立てがある。中国汽車工業協会は12年の市場規模を前年比8%増の2000万台と予測。米市場は1350万~1400万台と前年比100万台前後増えるとの見方が優勢だ。「円高の影響がない分、収益性が高い」(富士重の高橋充CFO)との声もある日本市場では、エコカー補助金の復活という追い風が吹く。
アナリスト予想の平均(QUICKコンセンサス)を集計すると、来期の自動車7社の営業利益は2兆3340億円。直近の会社予想を足し合わせた今期予想(1兆680億円)の2.2倍だ。企業別ではトヨタが8103億円で首位。8日に決算発表を控える日産自動車が6581億円で続く。
電機メーカーが総崩れなのに比べると、総じて自動車メーカーは頑張っていると思いますね。
新興国メーカーの台頭により、いずれ自動車でも同じ状況に陥る可能性は高いのですが、それはEVが普及段階に入ってからになるでしょう。 それでも自動車産業の高い「掛金(研究開発および設備投資費)」を捻出できるプレーヤーは限られますから、電気ほど厳しい競争にはならないのではないかと思います。