【企業特集】マツダ 「輸出依存」引きずり新興国シフト “自主独立路線”に灯る黄信号|週刊ダイヤモンド 企業特集|ダイヤモンド・オンライン
はたして、CX‐5の快進撃を好機にマツダは復活できるのか。
あるマツダ開発者は複雑な心境を吐露する。「デミオ、アクセラ、CX‐5とスカイアクティブが搭載された商品群が出そろい、評判も上々だ。にもかかわらず、その結果が巨額赤字の独り負けになってしまうのか。理解ができない」。
これまで、マツダが経営危機に直面するたびに、従業員は共通の思いを持っていたに違いない。この20年を振り返れば、為替レートが円高に振れれば業績が落ち込み、円安に振れれば業績が浮上する。その繰り返しだった(グラフ参照)。マツダの急所は輸出依存体質にあり、小手先の固定費削減や新商品の拡充だけでは、持続的な収益改善にはつながらない。
古くは「赤いファミリア」とか、ホンダでいうとオデッセイとか、傾いた屋台骨がヒット車が出ることで持ち直した例は多いです。
でもマツダの場合は、初代アテンザ以降の商品群はいいクルマが多いと思います。 今の苦境は商品面よりも、円安のときに経営体質の改革を怠ったツケなんですよね。
興味深かったのは、先の増資の裏事情についてです。
実は、この資金調達は、マツダの再建ありきではなく、メインバンクの三井住友銀行ら金融機関の事情から編み出されたスキームだったと思しい。
きっかけは昨年11月に明確化された金融庁の検査方針だ。東日本大震災の余波で資本が毀損した中小企業の救済を主目的としており、彼らの既存の借入金を劣後ローン(資本性の強い借入金)へ振り替えることで財務の健全性を確保し、新規融資を促すというものだ。要するに、中小企業の資金詰まりを回避するための措置である。
この措置を金融機関側から見ると、借入金から劣後ローンへ振り替えることで、新たな貸倒引当金の積み増しが避けられる。ある金融機関幹部によれば、「4期連続赤字のマツダの債務者区分は要管理先だ」。3月期決算が迫る金融機関が、貸倒引当金の積み増しから逃れるためにこのスキームを利用したのだ。あるマツダ幹部は、「そういうシナリオで動いていた」と認める。直前まで、山内社長は「コミットメントライン(銀行団融資枠)は約2000億円あり、手元流動性も2400億円ある」とし、差し迫った資金需要の必要性を否定するかのような発言もしていた。
劣後ローンは他の債務よりも弁済順位が低く、元本の返済期間を長期に設定できる。そのため、株式市場は「金融機関の支援体制が盤石」と読んだが、経緯を鑑みれば、むしろマツダの再建に対する金融機関の姿勢は冷めている。さらに、マツダは17年3月まで5%強、それ以降は6%強という高い金利を支払わねばならない。
4期連続最終赤字となると、貸倒引当金の積み増しが迫られても不思議でないですしね。 劣後ローンの部分は、増資の為に受け入れた条件だったのでしょう。
すでに、マツダは16年3月期までに、国内生産比率を7割から5割へ引き下げる方針を表明している。思い切った方針にも映るが、前提となる世界生産台数は170万台であり、国内85万台、海外85万台にするというもの。国内生産レベルは現状を維持しつつ、海外生産を50万台以上伸ばす計画なのだ。楽観的に見ても国内販売台数は20万台程度なので、輸出依存が緩和されることはない。(中略)
今、最もマツダ経営陣が期待しているのが13年度中に稼働が迫ったメキシコ工場だ。欧米、中南米に向けて年産14万台を見込むが、メキシコがブラジル向けの輸出制限枠を設けることが決定し、早くも暗雲が垂れこめている。
震災、タイ大洪水を経て、日系メーカー各社が反転攻勢をかけているときに、構造改革が迫られるマツダは周回遅れだ。
同じ4期連続赤字のソニーと違って、マツダが経営危機の状態にあるわけではないですが、資本提携先も含めて時間が経つほど選択肢は少なくなっていきます。
サーブみたいな行く末にならないことを祈りたいですね。