分子標的薬で白血病は「治せる病気」に

  • 投稿日:
  • by
  • カテゴリ:
  • ハッシュタグ:

分子標的薬で、がんから生還! 開発ラッシュで変わる治療|今週の週刊ダイヤモンド ここが見どころ|ダイヤモンド・オンライン

「薬の進歩でここまで治療が変わった病気は他にないだろう」──。
 
木崎医師は多くの慢性骨髄性白血病を発症した患者を診て、つくづく実感しているという。
 
栗原さんがイメージした通り、かつては不治の病で、有効な薬が存在しなかった。1980年代半ばに抗がん剤として、インターフェロンが登場し10~15%の人が治るようになった。
 
90年代に入ると造血幹細胞の移植が行われるようになり、インターフェロンによる治療と組み合わせることで50~60%が治るようになった。もっとも移植手術は、高齢者など体力がない人には難しいものだった。
 
治療が大きく変わったのは01年、「グリベック」という薬が発売されたことだった。栗原さんが服用しているタシグナの先代品である。グリベックは登場するや、白血病の進行を劇的に抑えた。生存率はなんと9割にまで高まった。20年前には、ほとんど治らなかった病気がほぼ治せる病気へと様変わりした。

がんもいろいろなので万能の薬はないのですが、技術は進歩しているのですね。

第2段階に入った分子標的薬の長所と短所:分子標的薬:薬剤:がんサポート情報センター

2001年、転移性乳がんの治療薬、ハーセプチン(一般名トラスツズマブ、以下同)が発売されて以来、がんの化学療法の分野に新しい分子標的薬が続々と出現し、従来のがん化学療法の地図を根底から塗り替えようとしています。すでに慢性骨髄性白血病やGIST(消化管間質腫瘍)ではグリベック(イマチニブ)、悪性リンパ腫ではリツキサン(リツキシマブ)、肺がんではイレッサ(ゲフィチニブ)、多発性骨髄腫ではベルケード(ボルテゾミブ)、が出て、従来の抗がん剤の治療成績を大きく凌駕する成果を上げています。
 
これに続いて、腎細胞がんに対するスーテント(スニチニブ)、ネクサバール(ソラフェニブ)、大腸がんに対するアバスチン(ベバシズマブ)、肺がんに対するタルセバ(エルロチニブ)、悪性リンパ腫に対するゼバリン(イブリツモマブ)などが、すでに新薬承認のための治験を終了し、現在厚生労働省へ承認申請中となっています。
 
さらに、現在治験中のものには、乳がんのタイカーブ(ラパチニブ)、慢性骨髄性白血病のスプリセル(ダサチニブ)、タシグナ(ニロチニブ)、大腸がんのアービタックス(セツキシマブ)などがあります。

あのイレッサも分子標的薬なんですね。 分子標的薬だってもちろん副作用はあるみたいです。

肺がんに対するイレッサはもともとEGFRを標的としてつくられた分子標的薬ですが、その後、EGFRから変異したEGFRを標的とした分子標的薬であることが研究で突き止められました。変異したEGFRにはいくつもの種類があり、その発現頻度は(1)アジア人、(2)女性、(3)非喫煙者、(4)腺がん(肺がん細胞のタイプ)に高く、変異したEGFRを有する肺がんは総じてイレッサが効きやすく、欧米人よりもアジア人に多いことが明らかにされています。イレッサの国際共同試験(IDEAL-1)で欧米人の奏効率が9.6パーセントにとどまったのに対し日本人の奏効率は27.5パーセントにのぼり、約3倍近くの差が認められたのは、そうした背景があったからだと考えられています。(中略)
 
一方、小分子化合物の分子標的薬では副作用の出現頻度やその程度についても、日本人と欧米人の間で大きな差があります。イレッサによる間質性肺炎などの重篤な副作用の発症がその代表的なものです。
 
2002年、わが国でイレッサが発売されて以降、それによって間質性肺炎や急性肺障害を起こした肺がん患者は1631人、死亡者は643人(06年3月末現在、厚労省調べ)にのぼっています。イレッサによる間質性肺炎の発症メカニズムはまだ突き止められていませんが、確かなのはイレッサによって間質性肺炎を起こす患者が日本人に圧倒的に多いという事実です。日本医科大病院呼吸器内科教授の工藤翔二さんによると、欧米ではイレッサによる間質性肺炎の発症率が0.3パーセントにとどまるのに対して、日本では5.8パーセントにのぼり、約20倍も高いということです。

うちの叔母がまさにドンピシャでしたね。 当時にイレッサがあれば助かったのかもしれません。
日本人に合った分子標的薬の開発が望まれます。