「世界最強」労組に完敗 韓国・現代自に漂う暗雲 :日本経済新聞
先月30日に労使が暫定合意した内容は、驚くほど組合に有利なものだった。まず1967年の設立以来続けてきた朝までの徹夜勤務を来年3月に廃止。2交代制を維持しながら、10時間の勤務時間を1~2時間減らす。基本給を5.4%引き上げるほか、多額の賞与も認めさせた。2011年12月期に連結純利益が前の期比35%増の8兆1049億ウォン(約5600億円)となるなど、絶好調の経営を受けた妥結内容と言える。
経営側は設備を増やすリスクをできるだけ避けたいから、そもそも手持ちの工場はフルに活用したい。この大原則を労働時間の短縮で崩したうえ、その分の給与の目減りは無し。夜間労働の手当を増額して減少した労働時間の賃金を埋め合わせるとしている。そのうえでベースアップするという、労組にとっては成果の大きいものだった。(中略)
徹夜勤務を廃止して労働時間を短縮する代わりに、現代自は3千億ウォンの設備投資でラインの自動化を進める。ボトルネックの解消に努め、時間あたりの生産台数を増やして生産能力を維持する方針だ。
だが本当にそれが果たせるだろうか。労使間の暫定合意への賛否を組合員に問うた今月3日の投票では、賛成が2万1655人(52.7%)で反対が1万9164人(46.6%)と拮抗。5割を超えて承認されたものの、これだけ優遇する内容で反対する組合員がいるのは、労働条件を改善する要求がなお強いためだ。時間あたりの生産台数を増やすにもかかわらず、生産職の増員がないことを嫌気しており、仕事の強度が少しでも上がれば組合員は確実に反発する。
以前にトヨタの幹部が「日本の労働規制を緩和しなければ、現代自と対等に戦えない」と嘆いていましたが、会社の利益が増えれば労働条件改善要求も強くなるので、落ち着くところに落ち着くことになるんでしょう。