築40年を迎えた日中関係という建築物 新たな耐震補強工事の道を探る|莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見|ダイヤモンド・オンライン
その意味では、今日の問題を今日の方法で解決しようと、果敢に試みを始めた企業がある。広汽トヨタと一汽トヨタだ。トヨタ系のこの2社は、9月中旬に発生した抗議デモの中で破壊行為を受けた同社の車の所有者とディーラーに慰問状を送付し、暴行で破損した車の買い替えの優遇条件や奨励金の支給などの措置を明示した。デモ期間中、日系車での出勤などを遠慮した所有者に対して、「代歩費」という形の交通手当も1週間を上限に支給した。
顧客への関心、愛情を前面に出したこれらの措置は広く注目され、多くのメディアに取り上げられた。たしかにこれは一企業のシェアを確保するための販促作戦ではあるが、その効果の1つとしては、大きなひびが入った「日中関係ビル」の補強工事につながる。評価すべきだと思う。
暴動で狙われるのを恐れて、日本車の買い控えが起きているようですので、こういう施策も必要なんでしょうね。
ところで、初めて知ったのはこのくだり。
9月30日夜、NHKスペシャル「日中外交はこうして始まった」が放送された。40年前の日中国交正常化実現までの足取りを振り返る番組だった。この番組をご覧になった読者の方々が気付いたかどうかは分からないが、番組では日本の航空会社2社のシーンが出ていた。1つは、中日国交正常化の直前、日中間で初めてと言われた直行便で北京を訪れた全日空の機材だった。もう1つは、国交正常化を実現するための訪問に臨む田中角栄首相と大平正芳外相らを乗せた日本航空の飛行機だった。
ナショナルフラッグの日本航空よりも先に国交のない中国に翼を伸ばしたこの全日空のシーンの意味に、私は深く感動を覚えた。その裏に、中国と日本を結ばせるために全心全霊を捧げた全日空の第2代社長だった岡崎嘉平太氏の存在があった。
実は偶然、NHKのこの番組が放送される約1週間前の9月24日、私はfacebookで「岡崎嘉平太を、知っているか?」と問いかけてみた。1500人もいるフォロワーのなかからわずか2人から、「ANAに基金会がありますね」「岡崎嘉平太が『命をかけた日中友好』に取り組んだのは、中国人留学生の親友との、辛い別れがあったからです。私は氏が亡くなる1年前、テレビでその話を本人の口から聞いて泣きました」という書き込みがあった。
そんな偉い人がいたんですね。