会社人生の出口戦略

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「優秀な中間管理職」が壊れていく必然:日経ビジネスオンライン

押井:当時も思ったけど、これは戦争映画の形を借りながら、組織の中で中間管理職と言われてる人間のそういう苦悩を描いているわけです。同時に部下というのは、その中間管理職の苦労をいっさい理解しないものなんだという面もあるんです。(中略)
 
--なんか救いがない上にシャレになりませんね…。
 
押井:中間管理職がいかにあるべきか。部下は大事かもしれないけど、過度にいい顔をしようとすればどんどん業績は落ちて、結果的に会社が沈没していく。競合している対抗企業が強力であれば、会社の存続そのものが危なくなるかもしれない。それでも部下をかばうのか。
 
そうじゃないなら、非難轟々になっても成績を上げて会社を守るしかない、最終的にはそれがリストラを防ぐわけだから。だけど過労死でバタバタ、家庭崩壊続々という(笑)。「あんたはどっち?」と聞いているわけですが。

「頭上の敵機」、観てみたくなりました。

それはさておき、一番ウケたのはここ。

押井:先日、ドワンゴの会長が言ってたけど「日本では最下層の人間が全部ネットにぶら下がってる。これが日本の特殊事情だ」って(笑)。だからネットが罵詈雑言の世界になっちゃう。恨みつらみばかりで人間性下劣な世界。こんなにひどいネット世界は日本だけだって。中国だろうがヨーロッパだろうがアメリカだろうが、ネットでこれだけ聞くに耐えない言葉が氾濫してる世界は他にないんだって。なんでかというと、日本は最下層でもみんな、パソコンや携帯を持てるから。
 
--そのためのインフラも整備されてますからね。
 
押井:そうそう。なまじインフラが整備されてるから、他の国だとネットにアクセスできないような最下層の人たちが全部ネットにぶら下がっちゃった。で、全体のネットの文化程度を全部引き下げてるというさ(笑)。

否定はできないように思います。

元に戻って、

--会社や部下のために頑張った結果がそれでは浮かばれませんね。
 
押井:そう考えると、最終的にサラリーマンの理想的な終わり方ってなんだろうと思うんです。(中略)
 
だから、定年を迎える頃のサラリーマンが何を考えるんだろうってわからないんです。言い換えると「サラリーマンにとっての最終的な勝ち組、勝利条件って何なんだろう」、という。(中略)
 
Y:サラリーマンだと働いてる以外の自分というのはほぼないですからね。働くことだけを求められるわけですから。
 
押井:僕だったら、カヤックとワインの生活なんて半年どころかたぶん3カ月で飽きるよ。それに、そういう生活ができるのは、サラリーマンとしてそれまでバリバリにやってきたからこそですよね。会社に何百億という金を稼いだような仕事ぶりだった人は、そんな暮らしはすぐに飽きるんじゃないかな。そしたらどうやって暮らすつもりなんだろう?

昔から「55歳になったら早期退職したい」と思っていました。 実際には家のローンもありますし、難しいですけどね。
でも仕事がなくなってしまうと、やっぱり虚しい感じがするだろうとも思います。

一生、仕事が出来るのが理想なんじゃないですかね? でもそんな人は多くないわけで。

Y:側聞なんですが、会社を辞められた方向けに弊社が雑誌を出したことがありまして、編集者が退職した方のインタビューに行くんですけど、みんな話が長くて3時間ぐらいは離してくれない。自分が会社で何をやったかという話をたっぷり語って、でもそのあと決まって「会社にいる間に、辞めた後のことを何か考えておけばよかった」と。(中略)
 
押井:会社員である自分以外に、社会との接点を持ってなかった。家のことに参加してないから、家庭にも居場所はない。家庭人でもなく社会人でもなくなった自分になるわけだけど、そのときにスキルが全くのゼロに戻っちゃう。
 
それだったら、会社では平々凡々で課長で終わったかもしれないけど、地元でボランティアをやってましたとか、地域で何かスポーツをやっていたとか、要するに社会との接点を自前で持ってた人間は会社を辞めても社会的スキルは残るんです。会社を離れても何者かであり得るんだよね。

自分は定年後に何をしているだろう? 年間の1/3はキャンプしながら旅をしているかもしれません。