日本企業は迫り来る反グローバリズムの時代に備えよ:日経ビジネスDigital
米国のジャーナリスト、トーマス・フリードマン氏が著書で、外国資本が大量に投資を行っている国同士は、外国資本に見放されるリスクを冒してまで戦争をするとは思えない、という主張を展開しました。世界はそれだけ平和になっている、と。一方、英国の経済学者、ケインズも著書『平和の経済的帰結』の中で同じような見方を披露しています。第1次大戦前を振り返って当時、ロンドン市民の誰もがグローバル化のもたらした平和と繁栄が「正常で確実なもので、一層の改善に向かうと信じていた」と書いている。
しかし、本当にそうでしょうか。
現実には英国とドイツは戦争を起こし、欧州全体も戦争へ突入していった。20世紀初めのドイツの最大の輸出先は英国で、英国にとってもドイツは2番目の貿易相手国だったにもかかわらずです。経済の相互依存が必ずしも平和をもたらすわけではないということを歴史は証明している。
「100年に一度」と言われた金融危機ですが、泥炭が地面の下でぶすぶすと燃えているように、危機は進行しているのでしょう。
自分は積乱雲の例えが好きなのですが、際限のない成長というのは有り得なくて、どこかで崩壊しまた成長のサイクルへと入っていくのでしょうか。 それにはまだまだ底打ちしているとは思えません。
そういえば「人口ボーナス」と「人口オーナス」は繰り返すのかどうかですが、過去にはちゃんと繰り返されてきたようです。
需要を喚起し、効率良く人口を減らす「戦争」というプロセスによって。
また彼は、債務危機の影響が今後長期間にわたるという見方を示した。「(ユーロ危機との戦いは)短距離競走ではなくマラソンだ。これから何年もかかるだろう。ゆっくりと着実に走る者だけが勝利する」。痩身で修行僧を思わせるブランシャール氏の厳しい表情には、ユーロ危機はまだ峠を越していないという危機感がはっきり表れていた。(中略)
私はIMFの主任エコノミストのこの発言を聞いて、欧州中央銀行(ECB)が2011年末から2度にわたり合計1兆185億ユーロ(約101兆8500億円)もの低利資金をユーロ圏の銀行に提供したことを思い出した。ECBのマリオ・ドラギ総裁が第1次世界大戦で使われた巨砲にちなんで、「Dicke Bertha(太っちょベルタ)」と名づけたこのオペレーションは、ユーロ圏の銀行が貸し出しを渋り、不況が悪化することを防ぐための金融緩和措置だった。
つまりECBは、欧州が日本の二の舞いとなることを防ぐために、天文学的な額の流動性を銀行市場に注入したのである。このエピソードは、ユーロ危機が欧州版「失われた10年」に発展することについて、通貨当局の懸念がいかに深刻かを浮き彫りにしている。
それでも崩壊のスピードを遅くすることしか出来ていませんし、遅くすることでさらに損失額が膨らむという事態に陥っている訳です。
ギリシャの財政状態は、改善するどころか悪化している。ギリシャの公的累積債務が国内総生産(GDP)に占める比率(債務比率)は、2011年には165.3%だった。EUが2012年3月に決めたギリシャの第2次救済プログラムによると、同国はこの債務比率を、2020年までに120%に下げることを約束した。だが、監査団は「2013年の債務比率は逆に上昇して、約190%になる」と予想している。つまり、今後8年間で債務比率を120%に下げるという目標の達成は絶望的になった。
またギリシャは今年3月にEUに提出した予算再建計画の中で、「2014年までにGDPの4.5%に相当する財政黒字を達成する」と約束した。しかしトロイカの監査によると、ギリシャの2013年の財政黒字はほぼゼロになる可能性が強まっている。ギリシャが財政再建を達成する見込みも遠のいた。
このため、EUとIMFは財政黒字化の期限を2年伸ばすことに同意する方針だ。しかし2年間の猶予を与えることによって、ギリシャが必要とする融資額は、さらに320億ユーロ(3兆2000億円)増える見通しだ。(中略)
IMFのクリスチーヌ・ラガルド専務理事は2012年10月に「ギリシャの歳出削減の目標達成に2年間の猶予を与えるべきだ」という、以前に比べてはるかに寛大な姿勢を打ち出した。このことも、同国の財政赤字と債務を減らす作業が大幅に遅れていることを示唆している。つまりIMFは、「ギリシャにこれ以上厳しい緊縮措置を課しても、患者の肉体が弱るだけ。病が根治する見通しはない」と見ているのだ。ドイツがギリシャに対する姿勢を軟化させているのは、同国の財政状態が手のつけようのないほど悪化していることの裏返しと言える。
これは日本のバブル崩壊でも同じでしたからね。
かといってハードランディングすると、ショック死する可能性もあります。