ついに決定! 最強差動合成オペアンプ

長きに渡る彷徨に、決着をつける時がやってまいりました。

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到着順に試していきます。 まずはSTMicro製のTL072です。 これはスルーレートがTI製(13V/μs)より高くて、16V/μsあります。

ちょっと期待感はあったのですが超スローだし、まるでゴムが伸びたベルトドライブのようにテンポが安定しなくて気持ち悪いです。


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次はTIのセラミックパッケージ版TL072MJG8。 スペックは無印(TL072CP)と同じです。 これまた期待してました。

音色は同じですが、ノイズ感はあまり感じません。 そういう意味では期待通りです。 ダンピング効いてて鳴り過ぎないというか、ちょっと線細くておとなしいです。

口が大きく開かないで、ちょっとモゴモゴして聴こえることも... TL072の長所であるストレートな鳴りっぷりが影を潜めてしまったような気がします。 残念ですね。


いよいよ真打ち登場。 いきなりTL072BCPからいってみます。

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実は選別品とはいっても、内心では音は変わらないんじゃないかと思っていました。

でも聴いてみると「ああ、ちょっと上質だわ」と思ってしまいました。 無印だとギスギスして聴こえるようなところも、音を変えない範囲できれいに聴かせてくれます。

少しゆっくりかなという気もしますが、ほとんど気になりません。 音色は同じで解像感良し。 無印で不満だったS/N感も文句ないです。

無印の荒々しさも魅力ですが、ソースを選ばず聴くならTL072BCPだと思いますね。


じゃあTL072BCPとTL082BCPでどちらがいいのか? そもそも違いがあるのか?ということですが、予想に反してありました。

TL082BCPの方がほんの僅かですが高域が伸びているように思います。 無印のTL082CPは聴いたこと無いので、そういう傾向なのかはわかりませんが。

元々TL082のローノイズ版がTL072という位置づけなんですが、TL082BCPでノイジーと感じることはありません。

で、TL072BCPとTL082BCPでどちらがいいのか? 「お好みで」おしまいなんですが、個人的には帯域のエネルギーバランスでTL072かなぁと。 単に聴き慣れているだけかもしれませんが。 TL082BCPだと高い方に耳が引っ張られちゃうような気もするし。

I/V変換がOPA2211AIDじゃなくて、面白みがないTL1468-2とかLME49990なんかと組み合わせると、TL082BCPの個性が逆にいい方に作用するかもしれませんね。


もう答えは出てしまっているようですが、買ってあるので残りのオペアンプも聴いてみましょう。 3番目はTIのTLE2072ACPです。 「A」CPですから、これも選別品です(BCPはないみたい)。

このオペアンプは、TIが本家本元の威信をかけて開発した(?)TL072の後継品です。
でも今までにTL072の代替品と云われているオペアンプをいろいろ聴いてきましたが、音に関しては似て非なるものばかりで、どれも期待はずれでした。

正直、TLE2072ACPについても期待はしてなかったのですが、音が出てきた瞬間に「おお! TL072系の音だ!」と感じました。

TL072BCPは「TL072の音を少しだけ上質にした」ものですが、TLE2072ACPは「TL072を超える音」を目指したのではないかと思います。
それが成功したのか、あるいは勇み足だったのか? 自分は成功したんじゃないかと思います。 TIはとても良い仕事をしました。

TLE2072ACPにあって、TL072(BCP)にないもの。 それは「雰囲気」です。
TL072の良さは、ある意味で即物的な鳴りっぷりなんですが、バラードなんかを「聴かせる」のはあまり得意じゃないです。

OPA2211AID + TL072BCPだと、長時間聴いてて耳が疲れるところがありますが、TLE2072ACPとの組み合わせならそんなこともありません。

どっちが上というのではなくどちらも良いオペアンプですが、個人的にはTLE2072ACPは好きです。


最後になりましたが、ルネサス(旧NEC)のuPC812C-Aです。
TLE2072ACP以上に期待していなかったんですが、またもや裏切られました。 もちろん良い方にです。

日本的(もはや珍しいMADE IN JAPAN)というかなんというか、アクがなくてスッキリしていますね。 描写も正確なんだけど、面白みがないようなものではなく楽しく聴けます。
TL072とサウンドは違いますが、これはこれでとても魅力的です。 非常にレベルが高いです。

おそらくルネサスはこんな儲からない製品からは撤退するでしょうから、今のうちにもう少し買い置きしておきたいと思いました。


最後に結論ですが、DAC7の差動合成(LPF)オペアンプには、TLE2072ACPを使おうと思います。 次点がTL072BCPですね。

この条件で、再度I/V変換用オペアンプを、OPA2211AID、LT1468-2、LME49990の中から選びたいと思います。