米で日系自動車部品メーカー邦人社員12人収監

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朝日新聞デジタル:米で邦人社員12人収監 自動車部品カルテル、海外波及

12人は矢崎総業、古河電工、デンソーと、埼玉県の部品メーカー=米司法省は捜査中として社名非公表=の計4社に勤務。米国法人の支店長や営業担当幹部のほか、日本国内のトヨタやホンダ向け営業部門の担当部長などを務めていた。
 
いずれも日本の独占禁止法にあたる米国の反トラスト法に違反したとされ、2011年から昨年にかけ、禁錮1年1日~2年を認める有罪答弁をした。米司法省の担当者は今年2月時点で、すでに10人が収監されたことを明らかにし、「捜査はこれまでに公表している状況よりさらに拡大している」と述べている。(中略)
 
各企業や日本の公正取引委員会の関係者によると、米国滞在中に身柄を拘束されたケースもあるが、多くは日本で勤務しながら、今後のビジネスへの影響を考慮して自ら渡米し、収監されたとみられる。

なんだか戦後のBC級戦犯を想起するような出来事ですね。

一体どんな不正があったのでしょうか?

米司法省の資料などによると、カルテルが結ばれていたのは、電気配線のワイヤハーネスや、エアコンを調整するヒーターコントロールパネルなど。各社は米国に進出する自動車メーカーに納品しているが、00~11年、見積もりを求められた際、シェアや価格を維持するため、モデルごとに受注調整を繰り返していた。
 
話し合いは米国や日本国内で開かれ、自動車メーカーからの値下げ要求に対抗するためだったとされる。

競争原理をねじ曲げるというのはその通りなんですが、完成車メーカーと部品メーカーの力関係を考えるとフクザツです。 労使交渉における「団体交渉権」みたいなものはないんですかね?

朝日新聞デジタル:突然の収監、驚く日本企業 自動車部品カルテル

これまではカルテルに関与したとして米国で起訴されても、日本国内にとどまって収監を免れてきた。しかし、このままでは米国に入国できないだけでなく、第三国でも米国との間で犯罪人引き渡し条約を結んでいれば、国外退去になったり身柄を拘束されたりする恐れがある。国際刑事警察機構に手配され、時効もない。日本の公取委幹部は「飛行機の乗り継ぎの際に身柄拘束された例もある。渡航制限はビジネスの大きな障害になる」とみる。
 
今回も、12人の多くは休退職したうえで、収監覚悟で自ら渡米したとみられる。米国では、刑務所のうち拘束が比較的緩やかとされる、いわゆる「ホワイトカラー犯罪」が対象の施設に入り、刑期を過ごすことになるという。

出てきてまた会社に戻れる保証はあるんでしょうか?

米国で日本メーカー社員12名収監が発覚…今後海外における摘発者増の可能性も (Business Journal) - Yahoo!ニュース BUSINESS

今回の記事は朝日新聞独自のものであり、ほかのメディアがその後に追加報道を行った形跡はない。記事を執筆した朝日新聞ニューヨーク支局の中井大助記者は、自身のTwitterで「独自ダネというほどではありませんが、今まで五月雨でしか出ていなかった動きをまとめました」と記しており、2010年から捜査が始まった今回の部品カクテル事件について、各社が一定の報道を行なってきたのも事実。ただし、今回の記事が明らかにしたように、日本で勤務しながらも米国の刑務所に収監されるケースがあることは、十分に周知されているとは言い難い。海外向けにビジネスを行う際のリスクとして、より詳しく報道する価値はあるのではないだろうか。

 また、中井記者もTwitter上で認めているが、今回の記事では12人の社員がどのような状況で有罪を言い渡され、収監されるに至ったかについては明らかにされていない。日本在住のまま有罪に問われたとしても、国内にとどまっている限りは収監されないが、今回のケースでは前述のように、複数の日本人社員が自ら米国入りしている。彼らは渡米にあたって、会社とどのような約束を交わしたのか。また、会社側はどんな形でバックアップしているのか。会社と社員の関係という点でも、多くのビジネスパーソンにとって大きな関心事であるはずだ。

「会社のため」を思ってやったのだと思いますが、もっと「自分のため」を思って行動するべきですね。