モバイル分野のビジョンが欠落していたMSバルマーCEO

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さよならの前に振り返るMSバルマーCEOの栄光と挫折 - TechTargetジャパン システム運用管理

モバイル分野ではバルマー氏にビジョンが欠落していたことは、2007年のインタビューで米AppleのiPhoneの可能性に関する同氏のコメントからもうかがえる――「iPhoneが市場で大きなシェアを取ることはあり得ない。可能性はゼロだ。(中略)しかし13億台の携帯電話が販売されていることを考えれば、その60%か70%、あるいは80%に当社のソフトウェアが搭載されるようにしたい。Appleが確保できるのはせいぜい2~3%だろう」
 
しかし、2013年の時点でスマートフォン市場で3%のシェアしか確保していないのは、AppleのiOSと米GoogleのAndroidプラットフォームの後塵を拝しているMicrosoftだ。
 
米J. Gold and Associatesの創業者で企業コンサルタントのジャック・ゴールド氏は「『Microsoftがモバイル分野でよく健闘した』というのは、『隕石が落下したとき、恐竜は大喜びしてはしゃいでいた』というのと同じだ。同社にとってモバイル市場の出現は災難だった」と話す。

上手いこと言うね。

マイクロソフト、ノキア買収の愚  :日本経済新聞

厳しい現実にもかかわらず、マイクロソフトはノキア買収によって基本ソフト(OS)「ウィンドウズ8」を軸とする基本戦略に“倍賭け”し、社運を賭け続けることになった。
 
マイクロソフト幹部からノキアCEOに転じたスティーブン・エロップ氏が、ウィンドウズ8支持の姿勢を明確にして以来、ノキアのシェアは40%から15%に縮小した。米HP、台湾の宏碁(エイサー)、米デルなどマイクロソフトのエコシステムを採用した企業でウィンドウズ8搭載機器の発売が遅れるなか、ノキアは「ウィンドウズフォン」というちっぽけな市場で90%のシェアを握る。このため今回の買収により、マイクロソフトは既に衰退しつつあるOS事業を守り、拡大していくために多額の投資をする責務を抱え込むことになる。
 
バルマー氏率いるマイクロソフトが最もやりそうなことは、米アップルの「iOS」と米グーグルの「アンドロイド」というマーケットリーダーとの勝ち目のない戦いに、さらに多くの経営資源を注ぎ込むことだと私は今年1月の記事で予測した。スカイプへ85億ドル(約8489億円)、電子書籍端末「NOOK(ヌック)」へ4億ドル(約399億円)の投資に続き、今度は赤字のノキアに72億ドルを投じるという。3万2000人のノキア従業員が加われば、マイクロソフトの損失は確実に膨らみ続けるだろう。マイクロソフトは膨大な現金を抱えているとはいえ、このようなペースで使い続ければ、長くはもたないだろう。

負けを取り戻すために倍掛けするというのは、典型的なギャンブルの負けパターンですね。

ノキアを買収するのは、エロップ氏をバルマー氏の後釜に据えることで、マイクロソフトの後継者問題を解決するためであるという説もある。たしかにその可能性は高そうだが、そうだとすればスカウト費用としてあまりに割に合わない。エロップ氏をマイクロソフトCEOにする唯一の理由は経営手腕ではなく、過去にマイクロソフトに在籍していた経歴だけだ。だが経歴を見れば、エロップ氏をマイクロソフトCEOにするのは誤りであるという事実は明白である。
 
2010年10月にエロップ氏がノキアCEOに就任した際、私はこの人事は失敗だと指摘した。エロップ氏はマイクロソフト寄りの戦略を採り、ノキアを「マイクロソフトの販売店化」するなど、めちゃくちゃにしてしまうだろう、と。それ以降、ノキアの売上高は落ち込み、利益は消えうせ、株主は反旗を翻すなど散々で、唯一の好ましいニュースがこの死にゆく会社をマイクロソフトに売却するという話題だけだった。これはCEOの実績として、すばらしいとは言い難い。

マイクロソフトがノキアを買収した金額はスカイプを買った時より安かったそうですが、マイクロソフトが買える金額までノキアを弱体化させたのは、エロップCEOの功績じゃないでしょうか。