電力会社の債務超過を防ぐには

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北海道は「27%」の電気料金引き上げ!?:日経ビジネスオンライン

「電力会社を破綻させる選択肢はあり得ない。結局は規制業種。電気料金引き上げか原発再稼働で救わざるを得なくなるはずだ」
 
ある国内銀行の債券ファンドマネジャーは、さほど不安もないように言い切る。このファンドマネジャー氏は、北電を含む電力債を「(リスク計算上)本来持てる量より多めに抱えている」という。日銀による大規模な金融緩和で、優良企業の社債が買い込まれて金利が低下したため、業績悪化で利回りの高くなった電力債を増やしてきた。その裏付けにしたのが、「電力会社は必ず守られる」という見切りだ。
 
しかし、それは果たして本当なのか。筆者は北電について、泊原発の再稼働が来期出来ない場合に、その分を火力発電で埋め合わせるとどれだけのコスト増になるかを、前出の西川氏の協力を得て試算してみた。
 
結果は27.8%。もちろんこれは、規制料金である家庭向けと、自由料金の企業向けを一体にしているし、原発不稼働による発電減分を、コストの高い石油火力で全て賄うことにしているから実際とは異なる。しかし、概ねこの程度の料金引き上げをしなければ、昨年秋の値上げ時に立てた計画ほどに業績は改善しないと言えるだろう。
 
だが、これが果たして現実的かどうかは考えてみれば分かる。市場の楽観論はやがてはげ落ちる可能性を否定することはできないのではないか。

電気料金値上げか、原発再稼働かという二者択一で考えるからおかしいんでしょ?

電力供給サービス:先行きが見えない北海道電力の経営、再値上げでも利益は出ない - スマートジャパン

こうして見ると、北海道電力の収支は値上げを実施してもさほど改善しないことが想定できる。実質的な費用の増加は原子力関連で発生している部分が大きい。かりに泊発電所を再稼働できたとしても、その後の安全対策を含めて維持コストが増えていくことは確実な情勢だ。
 
むしろ急ぐべきは火力発電所の設備を更新することである。北海道電力の火力発電所には燃料費の高い石油を使う設備が4割以上も残っていて、年間に800億円以上の燃料費がかかっている(図4)。これを石炭かLNG(液化天然ガス)による最新設備に切り替えれば、半分以下の燃料費に減らすことができる。

実際に関西や中部は、コンバインドサイクル方式のLNG火力発電への更新を進めています。

電力供給サービス:高効率のガス火力発電所が関西と中部にも、供給力の増加と燃料費の低減へ - スマートジャパン

関西電力は運転開始から40年以上を経過した「姫路第二発電所」のガス火力発電設備を2015年6月までにコンバインドサイクル方式に更新する計画を進めている(図1)。全部で6基あるうちの1~3号機は更新を完了していて、新たに4号機も予定を2カ月早めて2014年3月1日に試運転を開始した。9月から営業運転へ移行する予定だ。
 
6基の新設備すべてが営業運転を開始すると、供給力が255万kWから292万kWへ大幅に増加する。発電効率が従来の42%から60%へ高まることにより、燃料のガスが少なくて済むのと同時に、CO2排出量も低減する。燃料とCO2排出量ともに3割程度の削減が見込まれる。
 
関西電力の火力発電所は現在9カ所が運転中で、石油を燃料にした設備が4カ所、石炭が1カ所、残る4カ所がガス火力だ(図2)。ガス火力では「堺港発電所」の5基と「姫路第一発電所」の2基がコンバインドサイクル方式を採用している。今後さらに石油火力からガスコンバインドサイクルへ転換を進めていく必要がある。

米国産シェールガスのLNGも入ってきます。

電力供給サービス:米国産のLNGが2018年に日本へ、中部電力と大阪ガスの共同事業が決定 - スマートジャパン

米国のシェールガスを日本向けに液化する事業が正式に動き出す。LNG(液化天然ガス)の生産・輸出基地をテキサス州に建設するプロジェクトで、中部電力と大阪ガスの参画が決まった。計画が順調に進めば、2018年に年間440万トンのLNGの輸出が始まる。

じゃあ北電が何か努力してるのかと?
一応、北電もガス火力の計画を進めているみたいですが、稼働が2019年なんて遅いですよね。 いままで何やってたんだか。

電力供給サービス:北海道に大規模な天然ガス発電所、2019年から運転開始へ - スマートジャパン

北海道電力が保有する発電所の大半は石油による火力発電で、しかも運転開始から40年以上を経過した古い設備が多く、トラブルによる停止が頻繁に起こっている。今後は天然ガスを燃料にした高効率のコンバインドサイクル方式が火力発電の主流になることから、新たに「石狩湾新港発電所」を建設して最新の設備を導入する(図1)。

結局、JR北海道とおんなじで、やりたくても体力がないということなんでしょう。


個人的には、原発の資産・債務を全て国が引き取って、電力会社を身軽にするより他に道はないと思いますけどね。

電力会社だって、稼働しない原発を抱えているコストや債務があるから再稼働したいと言ってるだけで、本当は手を引きたいと思っているんじゃないかと思いますよ。 リスクが大きすぎるもの。
燃料費が高騰といってもそれは新電力も同じだから、競争で不利になるわけじゃないしね。