もし、習近平政権が計算のできる洗練された為政者であれば、胡錦濤政権が粘り強く絡め手で勝ち取った親中政権下による中台経済融和をぶち壊すような行動はしないはずなのだが、最近の習政権の動きをみていると、どうも安心できないのも確かである。南シナ海と東シナ海の問題を同時に悪化させた外交センスを見るに、新疆問題とチベット問題と香港問題と台湾問題を同時に先鋭化させることにも躊躇ないかもしれない。
日本のように軍事的緊張に極めて弱い相手なら、脅せば妥協を引き出せる見込みも高いかもしれないが、血みどろの民主化運動で今の自由を勝ち取った台湾人は軍事的プレッシャーで意気をくじかれるタイプでない。中国が台湾へのアプローチを間違えば、東アジア近辺はいきなり硝煙が立ち込めることになりかねない、わけだ。
そうなると日本としても影響を受けざるを得ないので、中台関係には細心の注意を払う必要があるだろう。ただし細心の注意というのは、「国立故宮博物院」展のポスターにある「国立」の文字をわざわざ消すというような、中国側への配慮を習慣的に繰り返すことではない。いま自国周辺では、変化の波が押し寄せつつあるという認識をもって、台湾世論の揺れや習近平政権内部・周辺の動きをよく観察・予測するということである。
日本は中国への抗議デモどころか、集団的自衛権への反対デモをやってるくらいで、中国からしたら甘ちゃんにしか見えないでしょうね。
日本も少しは台湾を見習った方がいいかもしれない。