スケープゴートになって死んではダメ

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「笹井氏、もっと早く交代させていれば」理研への批判も:朝日新聞デジタル

CDBの「解体」を提言した理研の改革委員会で委員長を務めた岸輝雄・新構造材料技術研究組合理事長は「提言で笹井副センター長らの交代を求めたが、理研がすぐに人事を実行すれば不幸は起こらなかったかもしれない」と話す。「時間がたつほど問題が噴出するのは明らかで、理研は改革の取り組みが遅い」と批判した。
 
論文不正の調査経験がある遠山正彌(まさや)・大阪府立病院機構理事長は「処分が早ければ、笹井氏は実力があるので、次の職を早く考えられた。処分を長引かせたことで、針のむしろが続いていた可能性がある」と指摘した。

みんな、「俺が追い詰めたわけじゃないよ」と言いたいのでしょうね。 NHKスペシャル『調査報告 STAP細胞 不正の深層』の制作スタッフに感想を聞いてみたい気がします。 再放送はあるのかしらん?

理研の笹井芳樹さん自殺と政治責任(山本 一郎) - 個人 - Yahoo!ニュース

そういうときに、物事を客観的に判断し、然るべき対応を促す政治判断というのはとても重要だったと思うのです。確かに小保方晴子女史を引き上げた責任は笹井さんにあり、また微妙な捏造論文を科学誌に掲載させてしまうような後押しをしたにせよ、その事情を評価し事後処理を行う責任を持つのは紛うことなき行政と理研トップ、ひいては全体の方針を決定付ける厚生労働省文部科学省の大臣が責務を負っていたと思うわけです。
 
一口に研究組織のガバナンスの問題と言うのは簡単でしょうが、STAP細胞の再現実験に小保方女史を参加させるの、論文不正がどうだのといった、戦線が拡大してしまった理由と言うのも、人生を捧げている研究者の皆さんや、研究費を事実上負担している日本国民納税者が納得のいく厳正なる対処を進めることこそが唯一の解決方法だったのに、それを採らなかったことだと思うからです。留保つきでもいいから、いったん小保方晴子女史の研究者としての資格を停止する判断をしていれば笹井さんだけが責任を感じることなく死なずに済んだだろうに、という点で、原因究明や小保方処分に逡巡したすべての関係者に責任があるんだろうと考えるわけですね。

個人的には理研の野依理事長の責任は大きいと思います。 春の時点で「小保方がどうあれ、組織としての責任は重い。俺も辞めるからキミも辞めてくれ」と野依理事長が言っていれば、もっと早くに収束に向かったと思うんですが。 笹井氏は早くから辞めたがっていたそうなので、そういう道筋を作ってやるのも責任者の役目じゃないのかな?

栄華を誇った人でさえ、唐突に死んでいく | 熊代亨

このような未来を、一年前の笹井さんは予期していただろうか?まさか。だが、実際にはこのような8月5日がやって来てしまった。人間は、データを集積可能な領域ではそれなりに予測をたてることができるが、個々人の運命についてはほとんど何も知らない。その、不透明な時間を生きているからこそ、今こうして生きている事実は有り難く、知人友人との再会は交歓に値するのだろう......そんな事は頭ではわかっている!だが、今回のような出来事にいざ直面すると、自分自身の認識の甘さと娑婆世界の容赦の無さに身震いせずにはいられない。
 
私自身もそうだが、たいていの人間は、明日の自分もきっと生きていて、周囲の人間もきっと同じように生き続けているとボンヤリ信じながら生活している。そのこと自体は、決して悪いことではない。けれども人の世はもっともっと理不尽と不測にみちていて、簡単に人間の命脈を断ち切ってしまう。怖ろしいことだと思う。そして情け容赦の無いことだ。

こういう事件は、結局は誰かが死ぬまでどんどん炎上していくものなんですね。 まったくもって残念です。