失業者とは「仕事をするつもりはあるのに仕事がない人」

人手不足が意味すること:日経ビジネスオンライン

失業率は、2012年11月には4.1%だったが、本年6月には3.7%となった。5月には3.5%にまで低下していたのだが、最近時点ではやや上昇した。この点はややトリッキーな側面があるので注意が必要だ。失業率は、景気の上昇期に一時的に上昇することがあるからだ。
 
やや細かい話になるが、データの話はもともと細かいものなのだから、我慢してほしい。普通、景気が良くなると失業率は低下すると考えられている。これは、職を得られない状態でいた失業者が、雇用機会の増加によって新たに雇用されるようになるからだ。ところが必ずしもそうとは限らないのだ。(中略)
 
さて、この「非労働力人口」の多くは、学生、専業主婦、引退した高齢者などなのだが、難しいのは「失業者」の定義である。ここで言う失業者とは「仕事をしていない人」ではなく「仕事をするつもりはあるのに仕事がない人」である。もっと具体的に言うと「仕事がなく、求職活動をしている人」が失業者なのである。すると、今まで「仕事を探してもどうせ職はないだろう」と考えて求職活動を止めていた人が、景気が良くなり、世の中が人手不足だと言われるようになったので、職探しを再開すると、この人は失業者になってしまう。この場合、失業率の分子は不変で分母が減るから、失業率は上昇してしまう。最近の状況はこれだと思われる。総理府の労働力調査によると、非労働力人口(季節調整値)は、5月に前月比30万人減、6月15万人減とこのところ大きく減少している。これが景気拡大下での失業率上昇の理由だと考えられる。

なるほどなるほど。

続いて

失業率は、需要不足による失業率と構造的失業率(ミスマッチによる失業率)の2つに分けられる。失業率をこの2の要因に分けるために考えられたのが「UV分析」という手法だ。図は、首都大学東京の村田啓子教授が描いた最近時点での「UV曲線(考案者の名を取って、ベバリッジ曲線とも呼ばれる)」の動きだ。(中略)
 
図は、2002年第1四半期からスタートし、2007年にかけて右下に向かっている(景気上昇)、その後、2009年にかけて左上へと動き(景気後退)、その後はアベノミクス景気の中で再び右下に動き、最近時点(2014年第2四半期)ではほぼ45度線に近付いている。つまり、最近時点の失業率はほぼ労働需給が一致した状態での失業率であり、その多くはミスマッチによるものだということになる。
 
このことは大変重要なポイントである。なぜなら、現在の失業の多くがミスマッチによるものだとすれば、これからは単に景気が良くなっただけでは失業率は下がりにくくなり、雇用を改善するにはミスマッチの解消に働きかけるような構造政策(職業紹介機能・職業訓練の充実、労働移動の弾力化など)が主役となっていく必要があるということを示しているからだ。

要するに人が余っている業種と、足りない業種がまだらになっているんですね。
ただそれは職業訓練などスキル開発で解決できる性質のものなんでしょうかね? 低賃金な3K仕事ばかりが人手不足になっているんじゃないかという気がします。

昔なら「それでも食べていくためには仕方ない」と、そういう仕事に就く人も多かったと思うのですが、いまの時代は「だったら結構です」と断っちゃう人も多そうな気がします。

経済政策という点では、これまでは需要不足状態だったから、需要を増やすことが経済政策の基本であった。アベノミクスの第1の矢の異次元金融緩和も、第2の矢の公共投資の増額も、需要喚起を狙ったものであるという意味で、基本的には「需要不足時代の経済政策」だった。しかしこれからは供給力を高めることが重要になる。アベノミクス第3の矢の成長戦略がまさにそれだ。供給力を高めることなしに、需要がこれ以上伸びていけば、失業率は改善せず、物価だけが上がって行くということになってしまう。これからは「供給制約下の経済政策」を考えていく必要がある。
 
これまでの需要刺激策の後始末も重要になる。いわゆる出口政策である。これには、金融政策の出口と財政政策の出口の2つがある。金融面では、異次元緩和状態からいかにして平時に戻っていくかという大問題が控えている。財政面では、公共投資等の大盤振る舞いの結果拡大した財政をいかに再建していくかという、これまた大問題が控えている。

うーん。 でも内需が増えて国内の供給力が不足すれば、輸入が増えるだけのような気がします。 もちろん輸入できないもの(コト)もあるので、そういう部分に労働力を振り向けられるようにするべきなんでしょうね。