接触があって倒れたらシミュレーションとはいえない

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「W杯開幕戦のPKは…」 西村主審が明かした理由  :日本経済新聞

(視力の話をしましたが)、見えたものを見なかったことにするというのは僕に一番できないことでした。見えたものに対して、ルールに照らし合わせて正直に対応するということを、両チームの選手から委ねられているのがレフェリーなんです。場所が悪くて見えなかったものを、見たつもりでやるというのも禁じ手です。
 
でも、見えてしまったものに対して正直に対応しないと、選手のためにならない。(今回の開幕戦のPKの判定は)世の中に受け入れられない結果になってしまいましたけれど。でも、そうしたことも含めてサッカーなので。

それをなあなあで見過ごすと、コロンビアvsブラジル戦のようになって、結果的に怪我人を出すことになるんですよね。

続きです。

司会 あの場面についていろいろな角度から見たリプレーが出ていまして、西村さんの位置からだったらこう見えるっていうのもありました。そうしたら、クロアチアの選手が肩に手をやって、ブラジルのフレジ選手が倒れているんです。西村さんがこれまで培ってきたレフェリーの経験からすると、こうした行為は笛なんですよね。
 
西村 キッキングとか、押すという行為は程度を判断しないといけないんです。押していても、どれだけ押しているかとか。でも、押さえる、つまりホールディングは、その行為自体を反則にするということです。
 
なぜかというと、押すというのは偶然やってしまうことがありますが、つかみにいくというのは行為自体に意図があるので。レフェリーサイドからすると、こうしたことはすごく理解されていますが、みなさんにはそこがなかなか届いていなかった。
 
フレジ選手のシミュレーションではないかという意見もありました。確かに大げさに倒れましたから。その意見は尊重しますが、サッカーでいうシミュレーションは、なんらかの接触があって倒れた場合はシミュレーションとはいえません。レフェリーを欺いてフリーキックを得ようとする行為にはならないですから。大げさに倒れたことがフォーカスされてしまいましたが、本当にフォーカスされなければいけないのは、分かっていて手をかけた最初の選手のアクションだと思います。

この「押す」と「押さえる(ホールディング)」というのは大きな違いで、アメフトとか見てるとちゃんと区別してジャッジしているのがよく分かります。

西村 程度を判断するのではなく、(反則として)その行為自体で取らないといけないのはハンドリング、相手につばをはきかける、ホールディングです。偶然、相手につばをはきかけるというのはないですよね。意図を持ってはきかけるわけで。
 
ホールディングですが、それを甘くするとサッカーはどうなるかというと、相手のチャンスになればつかみにいけばいいじゃないか、みたいなことになります。チャンスを抑えるということは、ウォーって(ファンの)みなさんが感動したいところを反則でもって抑えることになるので。だからホールディングは選手のみなさん我慢してください、ということなんですね。確かに私の判定はインパクトがあったかもしれませんが、今大会はコーナーキックなどで柔道みたいになっているシーンが少なかったと思います。

次の大会では「噛みつき」も事前説明に入るんじゃないかな?