誤解のないように言っておくと、私は、自治体消滅論が全く無意味だと言いたいのではない。「私から見ると、世間で大騒ぎしているほどの意味は見いだせない」という程度の話である。
第1に、自治体の存続そのものは政策の目標ではない。最終目標は国民の福祉なのだから、本来の議論は「自治体が消滅するかどうか」ではなく「地域の人口減少によって、国民福祉がいかに損なわれるのか」でなければならないというのが私の考えだ。
そりゃそうなんだけど、地域に対する愛着というのは根強いので、そんなに簡単に割り切れるならダム建設でも高台移転でも苦労はしないよ。
地域の人口減少のイメージとしては、
人口減少で空き家が増える
商店や飲食店が減る
市町村の財政が悪化して財政健全化団体に指定される
インフラ改修の頻度が下がる
病院も減る
住民税が上がる
さらに人口が減る
市町村の財政がさらに悪化して財政再生団体に指定される
なんて負のスパイラルになっていくんでしょう。
茹でガエルではないですが、おそらく市町村の議会はギリギリになるまで動こうとはしないだろうね。
財政再生団体に指定された自治体を吸収合併してくれる隣接自治体なんていないでしょう。 自分の問題を処理するだけで精一杯で、重荷を背負いたくないのは当たり前です。 大きな工業団地を抱えていて税収が多い自治体であっても、吸収合併に反対する住民は多いと思います。
でも、財政再生団体がポツポツ出てくると地方交付税でも支えきれなくなって、国主導で合併なんてこともやらざるを得ないかもしれません。 国民の財産を守るのが国の役割ですが、公共サービスの提供区域を限定するなんてことも必要になるかもね。