FCVを「信じるものは救われる」?

次世代車の本命は「燃料電池車」か「EV」かという議論は不毛:日経ビジネスオンライン

--現状では、FCVやEVなど、それぞれのエコカーの技術的な優位性や課題をどう捉えていますか。
 
中西:移動距離や車体重量を考えて、それぞれの技術の特徴を見てみましょう。まず移動距離が短い場合はEVが有利です。これに対して、移動距離が長く重たいトラックには燃料電池が有利でしょう。中間の部分ではプラグインハイブリッド車が有望です。何が勝つかではなくて、ボーダー=境界がどこになるかが重要です。それぞれのインフラやコストと性能のバランスで業界は変わっていくと思います。
 
小型車のEVは移動距離が短く、技術的には難しくありません。小さなバッテリーを搭載しても問題ないからです。また電気自体はそこら中にあるインフラでもあります。ただEVの車体が大きくなるとどうするのか。どうやって大量の電池を搭載するのか。充電を含めたインフラの議論も始まります。
 
一方、FCVは重量がありますが、クルマのサイズが大きければ大きいほど入り口は簡単です。トラックやバスは燃料電池化していく可能性がかなりあると思っています。

マスコミは家庭用ビデオやDVDの規格争いと同列に、環境対応車のパワートレインを考えていますが、全く違うものだということです。

問題はインフラですが、

中西:FCVは新たに水素ステーションが必要になるので、よりハードルが高い。政府の支援などで普及のスピードがかなり速まる可能性はありますが、20年はかかるでしょう。2020年に花開くかというと極めて否定的です。
 
これはニワトリか卵かという議論に似ていて、FCVはニワトリです。それがインフラという卵を産み始める。そのためには、みんなが信じて投資をする必要がある。ウソとは言わなくても、目の前にあるかのような演出が欠かせません。「水素社会が来る」というと大風呂敷を広げている感はありますが、それは必要で、インフラができないとモノにはなりません。
 
--FCVが走り回る水素社会が本当に来るかどうかは分からないが、信じて投資をすれば、実現するかもしれない。
 
中西:日本には2020年に東京オリンピックがあり、ビジネスとしては大きなショーケースになります。水素エネルギーを使う「特区」を作って、水素社会を世界にアピールしようと動きもあります。これは日本経済にとって最後の大きなチャンスかもしれません。自由民主党も、東京都知事の舛添要一氏も、それぞれシナリオを考えている。私はそれを否定も肯定もしませんが、否定するなら対案が必要です。
 
日本の将来を考えるとエネルギー問題に、次の一手を打たないといけない。FCVと水素社会は、日本経済にとり、ポテンシャルを持っていることは間違いありません。
 
それを「出来レース」とか「できもしない」と批判するのは簡単です。しかし日本にとり、加工型の輸出産業は重要です。日本経済を支えるからです。だから世界で競争力のある産業を育成しないといけない。世界的に見て勝ち組といえる日本の自動車産業の延長線上に、FCVはチャンスがあります。

皮肉ではなく、やってる本人たちが半信半疑では成功するはずもありません。 日産も「EVに社運を賭ける!」と言ってフルラインEV戦略をとればよかったのにね。