安倍首相の決断の背景には財務省主導の「包囲網」に対する反発もあった。財政再建を錦の御旗に与野党や経済界などに「予定通りの引き上げ」の重要性を説き、環境整備に躍起となった財務省。安倍首相は最近も「消費税さえ上げさせれば、後は政権や景気がどうなってもいいというのが財務省の本音だ」と親しい関係者に漏らし、不信感をあらわにしている。
同省出身で増税の必要性を強調していた日銀の黒田東彦総裁に対しても安倍首相は距離を感じ始めていた。フリーハンドを保ちたい安倍首相は9月11日、首相官邸に黒田総裁を呼び、「最終的に政策判断をするのは自分」という趣旨の言葉でくぎを刺している。
その黒田総裁は10月31日、官邸に根回しすることなく追加の金融緩和を主導。「財務省と連携して消費増税への環境整備を進めた」とみた安倍首相はこの時、親しい関係者に「聞いていなかった」と不快感を示している。
黒田総裁は今月12日の衆院財務金融委員会で、追加緩和は「2015年10月に予定される消費税率の10%への引き上げを前提に実施した」と言い切って最後の抵抗を試みたが、安倍首相の決意は変わらなかった。
安倍首相が追加緩和のことを「聞いていなかった」というのは意外ですね。
消費税率再引き上げ 財務省「予定通り」に固執し、官邸激怒:イザ!
消費税率10%への再引き上げをめぐり、財務省が来年10月から予定通りに実施するよう固執し、自民党議員に「ご説明」に回った。これに対し官邸サイドは、「増税容認」で固めてしまおうとする動きだとして激怒、安倍晋三首相が衆院解散・総選挙を決意した遠因とされている。(中略)
財務省はとくに、再増税に慎重な議員に集中して押しかけた。同省幹部は、ある若手議員に再増税をしきりに訴えたという。
「社会保障費が膨れ上がる中、消費税率がこんなに低いのは、国民を甘やかすことになる。経済が厳しくても10%に上げるべきだ」(中略)
財務省の行状を聞いた菅義偉(すがよしひで)官房長官は、11月に入り、関係省庁に再増税を先送りした場合の経済への影響を調べるよう指示した。すると、財務省と二人三脚で再増税を訴える党税制調査会幹部も「政策変更をしなければならない経済状態かといえば、全くそうではない」(町村信孝顧問)などと発信を強め、官邸サイドをさらに刺激させた。
17日発表の7~9月期国内総生産(GDP込み)速報値は想定外のマイナス成長だった。それでも野田毅税調会長は記者団に「若干低い。想定の範囲内ではありますけどね」と強調した。
消費税の引き上げを延期するのに、なぜ信を問わなければならないのかというと、財務省を中心とする増税派と戦うために、世論の明確な支持がほしいからなのかもしれません。
【衆院選】野田毅氏非公認で 官邸サイドが自民執行部に働きかけ(1/2ページ) - 産経ニュース
野田氏は、消費税再増税をめぐり「断固として予定通り(再増税を)やらなければいけないことは党派を超えて共有している」などとして、予定通り来年10月に実施すべきだと主張してきた。
今月12日には、党本部で記者団に「(衆院解散は)国民から理解されるような大義が提示されないと、とんでもないしっぺ返しを受けることもあり得る」と述べ、安倍首相の解散決断を批判する発言もした。
安部首相は8%に上げるのも消極的だったものの、増税派が「景気はすぐに持ち直す」というのを信じて増税に踏み切った訳です。 それが景気後退の瀬戸際に来ているにもかかわらず、まだこんなことを言っているのかと不信感を持っているのでしょうね。
新聞をはじめとするマスコミは一様に解散に反対していますが、彼らは増税派ですからね。 軽減税率(個人的には悪手だと思う)導入を公約したのは公明党への配慮だけでなく、マスコミ対策でもあると思います。