【中田徹の沸騰アジア】東アフリカ訪問で再認識したアジア製造業の競争力 | レスポンス
ケニアには完成車の組立工場があり、いすゞ、トヨタなどのブランドのKD(ノックダウン)生産が行われている。1車種当たりの生産規模は数百台と言ったレベルで、組立用部品の現地調達はあまりできていない。ホンダも二輪車の組立を始めているが、中国から全ての部品(CKD)を輸入している。また、補修部品のほとんどが輸入されている。ケニアにおいて自動車部品メーカーは数える程度しか存在しておらず、軽工業を含めても製造業の産業集積は薄い。
一方で消費は堅調。自動車(四輪)の場合、需要の9割が中古だと言われるが、売れ行きは好調のようだ(渋滞の原因となっている)。また、ナイロビ中心部のスーパーマーケットを覗いたが、物価は安くない、と感じる。若者が行列を作っているテリヤキチキンのファーストフード店でドリンク付きのセットを頼んだら 490シリング(約630円)だった。
物価の高さは農業の弱さが原因だ。ケニアなどの場合、食料自給率が低く、これが物価高を引き起こしている。消費者物価の高さは人件費の高さにつながる。ナ イロビの製造業ワーカーの賃金は150~200ドルで、ASEAN後発国より高い。今回、タンザニアにも足を伸ばしたが、状況は似ている。東アフリカにお いて製造業の工場進出が期待されるのはエチオピアくらいだ、という話を幾度か聞いた。
「食料自給率の低さが物価高を生む」というのは、前に別の記事でも読みました。 そりゃ輸出産業もない国が食料を輸入に頼っていたら、物価が高いのも当たり前だよね。