今回の合意では「フランス政府はフランスにおけるルノーに関連する戦略的決定事項、特別な案件に関して2倍の議決権を行使できる。その他すべての案件ではフランス政府の議決権は制限される」ことになった。実質統合が進むなか日産に関係しない案件の「線」をどう引くのか、という曖昧さは残りそうだが、ともあれ日産の経営に2倍の議決権は適用されない。日産の懸念は解消されたことになる。
合意はこれだけではない。日産が不当な干渉を受けた場合、日産はルノーへの出資比率を引き上げる権利を獲得した。1999年に経営危機に陥った日産にルノーが出資した経緯から、これまで日産とルノーの間の資本関係は不平等だった。ルノーは日産に43.4%を出資するが日産からルノーへの出資は15%、しかも日産の持つルノー株には議決権がなかった。また日産はルノーの承認なしにルノー株の売買ができなかった。
「不平等条約改正」を喜ぶニュースが多いですが、本当にこれで安泰なんでしょうか?
続きです。
日産は当初、不合理な外圧を強く受けるピンチに遭遇したが、結果としては、最悪の事態を回避したうえ、不平等な契約の改定を勝ち取った。西川副会長は「3者にとっていい結論」と述べたが、最大の勝者は紛れもなく日産だ。土壇場で打ち出した仏政府への強硬姿勢が功を奏した。次に取り分が多かったのが仏政府。議決権を2倍にして部分的ではあるが、ルノーへの影響力は強まる。しかし強硬に圧力をかけたために、日産・ルノーにRAMA改定という策を与えてしまったのは想定外だったかもしれない。
微妙なのがルノーの立場だ。今回の騒動はカルロス・ゴーン氏が両社の最高経営責任者(CEO)を兼務しているため、終始ルノー・日産対仏政府の構図で進んだ。ルノー・日産連合として今回の決着は勝利だろうが、ルノー単独でみれば、仏政府の影響力拡大を許し、日産には強力な武器を与えてしまったとも受け取れる。もろ手を挙げて喜べるという結果ではないだろう。
ルノーと日産のCEOを同一人物が兼ねている状況で、日産がルノーと異なる自由意志を発揮できるなんて夢物語に過ぎません。
結局今回の合意は今の体制を固定化するだけで、日産の利益が吸い上げられているという状況は変わりません。
ゴーン氏:日産ルノー連合の後継者には両社CEOの兼務を勧めない (Bloomberg) - Yahoo!ニュース BUSINESS
ゴーン氏は横浜市内の日産本社で15日、記者団に対して、ルノー株主としての仏政府の役割を制限する妥協案で合意したことを受け、仏政府との対立は「終わった」と述べた。その上で、日産とルノーそれぞれの後継者について経営判断次第と前置きしながら、日産の次期CEOについては「できれば日本人が望ましい」とし、両社の経営トップを兼務することは非常に難しく、推奨しないとした。
ムリでしょう。 そんな人材がいたらとっくにバトンタッチしてると思います。
ルノーの業績悪化などで不協和音が起きたときに、今回の協定でがんじがらめになった状況というのは、次期CEOにとっては非常に難しいのではないでしょうか?
そういう意味では禍根を残したとも言えると思いますね。