三菱自の不祥事は夏季五輪周期?

五輪周期の三菱自の不正、VW並みの悪質さ:日経ビジネスオンライン

同社は2000年度以降、オリンピックの開催年に大きな不祥事が発覚している。
 
シドニー五輪が開催された2000年度には、三菱自の凋落の原点となるリコール(回収・無償修理)隠し問題が発覚し、経営危機に陥った。
 
独ダイムラークライスラー(当時)の傘下で再生を図っている最中の2004年度にはアテネ五輪があり、分社化した三菱ふそうによるリコール隠しが明らかに。三菱グループ各社が優先株を引き受けて、急場をしのいだ。
 
北京五輪の2008年度には世界的な金融危機があり、大きなトラブルは目立たなかったが、ロンドン五輪の2012年度は軽自動車のリコール対応の遅れで、国土交通省から厳重注意を受けた。
 
そして、ブラジルでリオデジャネイロ五輪が開催される2016年度。新たな不祥事が発覚した。

面白い着眼点だけど、アトランタ五輪(1996年)の米国現法でのセクハラ事件と、翌年の総会屋事件が抜けてますね。

4年という周期に意味は無いと思いますが、何度再生を誓っても繰り返される不祥事は「体質」と言われても仕方がないのかもしれません。

やり切れない三菱自動車の燃費偽装:日経ビジネスオンライン

事件の内容は、三菱自動車が国土交通省に提出した燃費試験データについて、燃費を実際よりも良く見せるため、不正な操作を行っていたというもの。具体的には、燃費を測定するときに使用する「走行抵抗」の値を実際よりも小さくすることで、燃費の測定値が実際よりも良くなるようにしていた。実際の燃費との乖離がどの程度なのかは現在社内で調査中ということだが、これまでに得られたデータでは5~10%かさ上げされていたという。
 
また、非常にややこしいことに、「走行抵抗」の測定方法自体も、「高速惰行法」という米国向けの手法が採られていたことが今回明らかになった。国内向けでは「惰行法」という別の方法で走行抵抗を測定することになっているので、この行為自体が法令違反となる。この走行抵抗の測定方法の違反は、今回問題になった軽自動車以外でも判明しており、2002年以降に発売された車種では「ミラージュ」「デリカD:5」、「アウトランダーPHEV」以外の車種はすべて国内法規とは異なる方法で測定した走行抵抗が燃費の算出に使われていたという。

なるほど。 でも空気抵抗は係数と前面投影積がベースなので、あまりに小さいとバレちゃいそうですよね。 転がり抵抗だってごまかせても2%くらい? 「5~10%かさ上げ」というのは至難の業です。

日産が軽自動車の開発を始めなければ、三菱自の不正は隠されたままだった (MONOist) - Yahoo!ニュース

同社は2002年から「高速惰行法」という手法で走行抵抗値を測定していた。日本では道路運送車両法で「惰行法」という方法で走行抵抗値を測るよう定められており、三菱自動車では法令に沿わない手法が、多くの車種で10年以上にわたって用いられてきたことになる。日産自動車が惰行法でデイズ/デイズルークスの走行抵抗値を正規に測定したところ、三菱自動車が高速惰行法で測定した場合よりも7%高かったという。
 
高速惰行法自体が不正確で信頼性の低い測定手法というわけではなく、米国では燃費測定時に高速惰行法で測定した走行抵抗値を用いている。欧州では日本と同様に惰行法が採用されている。

ふーん。 じゃあ本当に走行抵抗値だけの不正だったのかな?

三菱自動車、不正は燃費性能を求めるための走行抵抗値を甘くする操作 | レスポンス(Response.jp)

燃費の不正操作は、フォルクスワーゲンが燃費試験を有利に回避するプログラムを使った問題が14年にあった。当時、国内メーカーは国土交通省の支持を受け確認をしている。三菱自動車も、このときに不正はないと報告した。これについては中尾氏はこうこう答えた。
 
「デフィートデバイス(燃焼調整装置)については使っていないことを確認した」

そう願いたいものです。

三菱自動車の燃費不正、低燃費競争で劣勢の焦りか - 日経テクノロジーオンライン

三菱自動車は燃費の目標値を「14型eKワゴン」の場合で29.2km/Lと設定していた。これについて同社は「開発段階において技術要素を盛り込めば達成可能であるとみていた」(中尾氏)。ところが、実際にはその燃費目標を達成できず、それでも燃費目標をクリアしたように見せかけるために不正を行った「可能性が大だ」(同氏)という。
 
不正を行ったのは「性能実験部」。実験部という名称だが開発部の中にあり、燃費目標を達成する責任を負っていた。性能実験部で不正などせずに、燃費向上に寄与する技術要素を開発する部署に開発し直すように突き返せばよかったのではないかとの質問に対し、中尾氏は「本来はそうすべきだった」と答えた。なお、設計者は空気抵抗を把握しているものの、転がり抵抗が分からないため、走行抵抗値を求められないという。

性能目標を定めること自体は普通のことなんですが、東芝の粉飾決算事件のように「チャレンジ」という名の強要がまかり通っていたのかもしれませんね。

やり切れない三菱自動車の燃費偽装:日経ビジネスオンライン

非常に粗い計算になるが、それぞれのメーカーの世界生産台数に占める軽自動車の比率が、そのまま研究開発費に充てられる比率だと考えてみると、それぞれのメーカーの軽自動車にかけられる研究開発費用は下のようになる(ホンダの場合は4輪事業の売上比率をまず考え、その中で、さらに軽自動車の生産台数比率を勘案して算出した)。
 
すると、非常に大雑把にいって、ホンダの約400億円、スズキとダイハツの約300億円に対して、三菱自動車は180億円となった。しかも実際には、この比率以上に三菱の研究開発費用は見劣りすると考えられる。なぜなら、スズキやダイハツの数字は、世界生産台数から、純粋に国内で生産する軽自動車の比率だけを出して、上の数字を算出したが、実際にはスズキもダイハツも、海外で生産している車種の多くが軽自動車の技術をベースとしており、世界生産台数に占める実質的な軽自動車の比率は、もっと高いと考えられるからだ。

日産は合弁会社(NMKV)にどれくらい開発費を出していたのか?という疑問もありますが、競合に対して少なかったのは確かでしょうね。
そして開発費が潤沢なはずのホンダでさえ、一度も軽でトップの燃費が取れていないのです。

三菱燃費不正問題を実燃費データから検証する | レスポンス(Response.jp)

これに対する実燃費データは以下の通り。過去1年間の投稿データを参照。参考として競合車種3車種もピックアップした(各車種の実燃費データ値は、全グレードの平均値。競合車種を含めたサンプル数はおよそ300)。
 
 三菱 eKワゴン:16.85km/リットル
 三菱 eKスペース:14.62km/リットル
 日産 デイズ:16.7km/リットル
 日産 デイズルークス:14.2km/リットル
 
 ホンダ N-WGN:18.57km/リットル
 スズキ ワゴンR:18.83km/リットル
 ダイハツ ムーヴ:18.60km/リットル
 
eKワゴン/デイズが16km/リットル後半、eKスペース/デイズルークスが14km/リットル中盤、カタログ燃費に対する達成率はおよそ50%台半ばとなっている。競合車種が18km/リットル台であるのと比較すると、同タイプのeKワゴン/デイズ比でもおよそ2km/リットル程度の差があることがわかる。いっぽうで、カタログ燃費(最高値)で見るとN-WGNは29.4km/リットル、燃費達成率は63.2%と10%近くも差があることがわかった。

N BOXが昨年度の軽No.1を獲得したように、「燃費トップ」が「販売台数トップ」につながる訳ではありません。
NMKVはクルマとしての魅力をもっと高める努力をするべきだったと思います。

やり切れない三菱自動車の燃費偽装:日経ビジネスオンライン

冒頭で「やり切れない」と書いたのは、そうした状況に追い込まれていったエンジニアたちの心境を考えたからだ。もちろん不正はあってはならない。それははっきりしている。しかし「カネ」も、そして恐らく「ヒト」も足りない状況の中で、競合他社と戦うことをエンジニアに強いた経営にこそ、最も重い責任が問われるべきだ。

今回の件でググると過去の不祥事の頃の記事とかがいろいろと出てくるのですが、印象に残ったのがコレ。

三菱自の旧経営陣の禍根 ( 会社経営 ) - 元経済誌記者の雑言 - Yahoo!ブログ

経営危機はいつの時代でも人災である。特に中村社長時代の後半はワンマン経営になり、社内に上意下達の空気が蔓延し、悪い情報はトップに上がらなくなった。現場が上げようとしても、部門長がつぶしてしまう。そうしたことが、さらに三菱自動車の隠蔽体質を加速させた。

こういうのってどこの会社でもありそうですよね。 ちょっと前のホンダとかもそんな感じだったんじゃないかな?

ディーラー悲痛、ユーザーは困惑 三菱自不正で生産拠点の岡山 (山陽新聞デジタル) - Yahoo!ニュース

三菱自動車(東京)の主力軽自動車「eKワゴン」などの燃費試験に不正があることが判明した20日、岡山県内の関係ディーラーには動揺が広がった。同社水島製作所(倉敷市水島海岸通)で生産している、地元ゆかりの主力車種が販売できない異常事態に、取扱店は「燃費は軽自動車のセールスポイント。顧客にどう説明すればいいのか」と悲痛な声。ユーザーにも困惑が広がった。

販売店はホントかわいそうだと思います。