ここでは自動車評論家 国沢光宏氏のblogから、元・日産会長のカルロス・ゴーン容疑者(以下ゴーンさん)擁護の論陣について見ていきたいと思います。
2018年11月19日のゴーンさん逮捕の報を受けて、11月25日記事ではこのように書いています。
ゴーンさん、拘置所暮らしは辛かろう | 自動車評論家 国沢光宏
個人的には刑法犯(殺人や傷害、強盗な悪質な犯罪)であれば外国人であっても日本的な扱いで何ら問題無いと思う。けれど今回のような状況で、刑務所と同じ環境の拘置所への収監は推定無罪の常識からすれば厳しいんじゃなかろうか。ちなみに東京拘置所、冷暖房無し。畳敷き3畳で裸足。食べるものは基本的に麦飯(昼だけ弁当やパンを買えるらしい)。ほとんど刑務所と変わらないようだ。
しかも現段階は税金使い込んだんじゃなく会社のお金という容疑。このままだとフランス政府からけっこうなプレッシャーが掛かってくると思う。ホテルのような暮らしをさせろ、ということじゃない。脱税になれば私らと関係してくるけれど、それだって欧州の常識だと推定無罪だ。とっとと捜査を終わらせ、もし脱税なら多額の税金を支払って頂き、お引き取り願う方が日本にとっても得。
怒りを買えばフランスから意趣返しをさえれてしまうかもしれません。とにかくゴーンさんは藍綬褒章まで貰っている。少なくとも日産を再建し、日本に大きな利益をもたらしている。人間、恩を忘れたらアカンです。
「税金ならアウトだが会社のカネなんだから大目に見ろ」という論理が理解不能ですね。
「紫綬褒章貰ってる」というのも、犯罪の免罪符にはなりません。 むしろそのような人こそが高い道徳心を要求されるものだと思うのですが。
2018年12月6日の記事
ゴーンさんが保釈されたら取締役のまま鬼になって戻ってくる‥‥。西川さんどうする? | 自動車評論家 国沢光宏
御存知の通りゴーンさんもケリーさんも日産の取締役のままである。速やかに解任させたいなら臨時株主総会を開く必要あります。もし臨時株主総会が開かれる前にゴーンさんとケリーさんが保釈されたらどうなるだろう。裏切り行為を含め烈火の如く怒って臨時取締役会を開くんじゃなかろうか。その際、あれだけゴーンさんに罵詈雑言投げた西川さんどうする?
西川社長の記者会見の際の発言だと思いますが、罵詈雑言なんて言いましたっけ? 「長年にわたるゴーン統治の負の側面と言わざるを得ません」というのは穏当な表現だと思いますが。
ゴーンさんの不正が露見した発端は西川社長ではないですし、国沢氏は西川社長を「裏切り者」呼ばわりする確証をお持ちなんですかね?
社会的地位がある方に対して公然と貼るレッテルとしては、名誉毀損で訴えられてもおかしくないレベルで心配になってきます。
2018年12月11日の記事
ゴーンさん再逮捕。いよいよ特捜部厳しくなってきたか?(10日) | 自動車評論家 国沢光宏
本当は儲かってないのに儲かってると記載すれば株主にとって不利益になる。儲かってるのに儲かってないと記載したら脱税です。日産の件、どちらでもない。株主は5.82%もの株主配当を貰ってホクホクだ。ゴーンさんのサラリーが10億円増えたところで日産の経営に全く影響など与えず。誰も損していないのだから、1km/hの速度違反のようなもの。罪は罪ですけどね。
検察のメンツで有罪にしたとしても(そもそも有罪に出来ないと主張する法曹関係者が多い)、最長懲役2年になれば上等。当然の如く執行猶予付く。また、日産も起訴された。直近3年間の有価証券報告書虚偽記載となれば西川さんだって無事にすまないだろう。逮捕されないとしたら、西川さんが司法取引していたことになる。なのにゴーンさんを悪者扱いに! 酷い人間です。
「誰も損していない」という謎理論。 本来は株主のものだったはずの10億円(どころではないですが)をお手盛りで自分の懐に入れようとした経営者なんですけどね。
国沢氏は日産の株主らしいので、「5.82%もの株主配当を貰ってホクホク」なんでしょうけど。
西川社長が有価証券報告書虚偽記載を指示または実行したとすれば、ケリー氏のように逮捕されるのでしょう。
法人としての日産は起訴されています。 西川社長の監督責任はあると思いますが、それは刑事事件ではなく株主代表訴訟など民事でしょうね。
2018年12月20日の記事
ゴーンさん保釈へ。西川さんと特捜部崖っぷちに~ | 自動車評論家 国沢光宏
西川さんにとって最悪の状況になってきた。何回か「特捜部に打つ手無くなり2回目の再逮捕の勾留延長が認められない可能性あり、その場合、20日に保釈される」と書いてきた。一般的には明日。ゴネて遅らせてもクリスマス休暇に入る前の金曜日に出てきます。こうなると窮地に立つのが西川さんだ。あれだけゴーンさんを裏切り者扱いにし、罵詈雑言を浴びせた。
オランダから帰ってきたくないでしょうね。まぁ最初に西川さんを呼び出すことでしょう。しかも当面は日本に留まる条件を付けられるだろうから、イヤでも日産に関わるしか無い。年明けたら一番と強いプレッシャー掛けてくることは明々白々。そして臨時取締役会開催でしょうね。西川社長は高い確率で降ろされる。そらそうです。大騒ぎが長引いたも西川さんのせい。
おお、保釈が近くなったと考えて国沢氏ウキウキですね。 「西川社長よ、震えて待て」とでも言いたそうな感じです。
ところが一転してゴーンさん再逮捕を受けての2018年12月21日 の記事
被害者の居ない捜査で日産に最も損失を与えているのは特捜部です! | 自動車評論家 国沢光宏
本日にも保釈と思われていたゴーンさんが特別背任容疑ということで再逮捕された。10年前にゴーンさんが失敗した投資を日産に代替させようとしたけれど、当局からダメだと言われ返却したという事案です。この件、どこにも被害者はいない。よくぞこんな事案で逮捕したモンだ。私を含め、1回目の逮捕の際、特捜部のリーク情報に振り回されゴーンさんを極悪人として仕立てた。
メディアも全て乗った。未だに乗ってる人達もいますね。私は比較的早く同調しなくなりましたが。出てくる情報すべて「な~んだ」ばっかり。
さすが国沢氏。 これくらいでショボーンなんてなりません。
メディアに踊らされない私は彗眼と言いたいのでしょうか? 酔眼でなければいいですね。
2018年も押し迫った 2018年12月29日の記事
ゴーンさんのサウジアラビアのパートナー、大物です | 自動車評論家 国沢光宏
特捜部はゴーンさんの自白なければ立証しなければならない。そんなこと出来るのか? 誰だって難しいことが解る。100歩譲ってジュファリ氏の事情聴取したところで「日産車に乗っている王族とトラブルありました。内容については公表出来ません」と言われたら、そこから先にはいけまい。とにかくゴーンさんの自白無しには無理。新生銀行との付け替え問題だって難しいと思う。
違法は違法だろうが、1km/hの速度違反やアルコール呼気濃度計ったら0.05mg出たようなもの。そんなゴーンさんを懲役刑に出来るかと言えば、無理筋かと。保釈されたケリーさんについちゃ反撃が怖いのか(間違ったこと書けば名誉毀損で訴えられる)大手メディアは総ダンマリを決め込む始末。特捜部もヒマで困っていたのなら、モリカケ問題を取り上げればよかったのに。
「サウジルートの本質は国際的なマネーロンダリング」との指摘が出始めた時期ですが、「相手は大物だし証言が得られないから立証はムリ」というのは国沢氏の主張。 多分に国沢氏の希望的観測が入っているようですが...
国沢氏は常日頃から「ビタ1km/hたりとも速度違反しない」と書いてますが、これって「私はウソをついたことがない」と言ってるのと同じです。
ゴーンさんの不正は「1km/hの速度違反やアルコール呼気濃度計ったら0.05mg出たようなもの」という感覚に驚きますね。 コンプライアンスなんて言葉を聞いたことはないのでしょう。 昭和から時が止まっているようです。 朱鷺じゃなくて雉でしたね。
年が明けてあれっと思ったのは、2019年1月9日の雉、じゃなかった記事
日産とルノー、ゴーンさん問題で情報戦。とってもイヤな感じになってきました | 自動車評論家 国沢光宏
最近「国沢はゴーン派だ」みたいなことを言われるし、先日も日産の人から「日産に厳しい」。間違わないで頂きたいです。日産に限らず私はクルマが好きなのであり、日産という自動車メーカーの身方です。実質破綻していた日産を立て直したゴーンさんは日産にとって大恩人かと。ただ昨今の状況を見ると、そろそろお引き取り願った方が日産だけでなくゴーンさんにとっても良い。
ゴーンさんに恩を感じつつも「もはやこれまで」ですねと思う。
今までのゴーンさん擁護の立ち位置からゆっくりと軸足を移しつつあるような印象を受けます。
「身方」じゃなくて正しくは「味方」ですね。
2019年2月5日の記事
日産、ゴーンさんを殴りつける! そこまでやらなくてもいいんじゃないですか? | 自動車評論家 国沢光宏
「溺れた犬を叩く」というほどゴーンさんが弱くなければ「石もて追われる」と表現すべきなのかもしれない。いずれにしろ今までの功績など全く関係無しに殴りつける方向です。ゴーンさん嫌いからすれば「どんどんやれ」だろうが、日本人的な感覚からすれば少しばかり酷いんじゃないかと思う。もう少し穏便にお引き取り願った方がいろんな意味で敵を作らない。
国沢氏のいう「日本人的な感覚」というのがどういうものだかよくわかりませんが、「功績がある人だから許してやれ」なんてコンセンサスは日本人にはないと思いますけどね。
「NTTの生みの親」真藤恒氏がどんな末路を辿ったのか知らないのかな?
そしてついに我らがゴーンさんが保釈された 2019年3月6日の記事
「ゴーン=悪」の論調にメス! 保釈から考える日本の闇と日産の打撃 – WEB CARTOP
それにしてもゴーンさんが取った弁護士の変更は良い判断だった。特捜部上がり(ヤメ検などと呼ばれる)の弁護士から、弁護士のプロに変更した途端、保釈になりましたから。ヤメ検の皆さんは「監視カメラが効いた」と口を揃えるけれど、そんなことにも気付かない人達なのか、と思った次第。ヤメ検はやはり検察の仲間だと実感した。
「無罪請負人」ことカミソリ弘中弁護士を大絶賛ですね。
しかしゴーンさんがオマーンルートで4回目の逮捕をされた 2019年4月4日の記事は、拍子抜けするくらい熱が入っていませんでした。
ゴーンさんのクルーザーってどんなもの? | 自動車評論家 国沢光宏
不思議なのは「いつ使うのか?」という点。ゴーンさんって超忙しかったため、自分で乗ることなど年に数回あるかないかでしょう。日産なら持っていてもおかしくない。日産に買わせ、ゴーンさんが自由に使えば良かったのに。どこかは書かないけれど、かつて日本の自動車メーカーも会社のフネで釣りに行ったり接待に使っていましたよ。それでいいと思う。
例の「SHACHOU号」についてですが、「他社は会社名義でフネ買ってたのだから、ゴーンさんもそうすればよかったのに」と他社を持ち出して擁護。 ただ何となく主張が弱いですね。
続いて 2019年4月7日の記事
ゴーンさん、普通ならこのまま70歳までシャバに出てこられず | 自動車評論家 国沢光宏
ゴーンさんの4回目の逮捕、もし有罪に持ち込めるのなら相当厳しい状況になると思う。金額大きい特別背任だと99%実刑になると考えていい。当然ながらこのまま拘置所から出られず、さらに上告を続け最高裁まで行くだろうから5年程度かかるだろう。ということでシャバに出てくるのは通常だと5年後くらいになると考えます。65歳のゴーンさん、出てきたら70歳だ。
ここから全く予測できない。日本人であれば、いや外国人であっても通常なら70歳まで牢屋です。ただ本当にそうなるとは思えない。功績だってあるからだ。
「もし有罪に持ち込めるのなら」と但書がつきますが、形勢不利を認めつつあるように見えます。 あれだけゴーンさん擁護の論陣を張っていただけに大変意外です。
何か心境の変化でもあったのでしょうか?
4度目の逮捕直前に撮ったと言われる動画が公開されたのを受けての 2019年4月10日の記事
ゴーンさんの動画、普通の人にとっちゃ空振りだったがギョウカイ的には大きな衝撃です(9日) | 自動車評論家 国沢光宏
今のままだと3回目の逮捕までの容疑で無罪を勝ち取ったとしても、4回目の逮捕はいかんともしがたい。ゴーンさんの余生、無いも同然である。保釈時の茶番といい、妙な遠慮といい、世論を身方に付けようとしない弁護団の戦略は、おそらく失敗だと思う。このまま派手好きな嫁さん&愛息のため会社のお金を使い込んだ悪辣な経営者というイメージが定着するんじゃなかろうか。
一方、自動車業界的には驚くべき内容だった。一連の騒動が始まって以後、初めて「ルノーが日産を傘下に置こうとしている」と解ったからである。フランス政府はゴーンさんを使い軟着陸させようとしていたけれど失敗したワケ。日産を諦めるか? そうならない方に1000ペリカ掛けます。おそらく次の手を使ってくることだろう。次の動きは6月の株主総会前に出てきそうですね。
いや、ずっと前から日産はルノーの傘下ですけどね。 「ルノーが日産を吸収合併しようとしている」であったとしても、それは既定路線であって業界人は誰も驚かないですよ。
それにしてもあの動画は酷かったですね~。
あれだけ「弁護士変更は良い判断だった」と絶賛したのに「弁護団が無能」と切り捨てるのはあんまりな。 これだけ掘れば掘るほど日産私物化の情報が出てくる状況で黒を白に変えろというのは、たとえカミソリ弁護士がなまくらじゃなかったとしても無理筋というものです。
そしてついに2019年4月11日の記事
ゴーンさん、終わった。日本人クルマ好きにとって大切なのは日産だ | 自動車評論家 国沢光宏
ゴーンさんの状況、相当厳しくなったと思う。とにかく4回目の逮捕の嫌疑になった中身がよくなさ過ぎる。キャロルさんが作った『ビューティーヨット社』だけれど、営利を求めるならもっと稼働させなければダメ。けれど公開された航跡ログを見ると、営業していると思えない。ほとんど動いてないですから。しかもフネだけで15億円と言われている。このクラス、維持費掛かります。(中略)
相当の原資がないとこんなことできません。そしてこのフネを買った時の資金ルート、ダダ漏れかと。というのも今や大きな買い物をした時のお金の流れはアメリカが全て掴んでいると言われます。ドルベースだと言われているからなおさら。こんな高い買い物をせず、レバノンなどに投資していれば露呈しなかったろう。キャロルさん、フランスでも厳しい対応だったようだ。特捜部の勝ちか?
チーン(合掌)。
それにしてもネーミングセンスがイカしているね。 『ビューティーヨット社』ってwww
やってることは会社のカネを横領してミッキーハウスを建てた建設会社の元役員の女と同じだけどね。
国沢氏に白旗を上げさせたのは、猫組長のこの記事でしょう。
元経済ヤクザが解説「ゴーン氏が打った4つの致命的悪手」(現代ビジネス) - Yahoo!ニュース
ましてやゴーン氏は、一連の資金移転をアメリカの通貨「ドル」で行っている。ゴーン事件の捜査にアメリカが「参戦」したということは、これから先、ゴーン氏の金の流れがすべて丸裸にされる、ということを意味しているのだ。金の流れの解明が最も重要となる経済事件において、アメリカの参戦が決まった時点で、残念ながらゴーン氏は詰んだも同然、なのだ
これまで世間がどんなに批判しようともゴーンさんを護ってきた国沢氏。
かつては「日産の国内販売が低迷しているのはゴーンさんじゃなくて担当役員のせい」とか、任命責任なんて言葉は知りませんというような謎の主張までしていたのに...
「雨天の友」と言いますが、ゴーンさんが最大のピンチに陥っているときですから、ここは最後までゴーンさんサイドに立っていてほしかったですねー。