フリー将棋ソフト「Bonanza」

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フリーソフト「Bonanza」が初出場で優勝 - 第16回コンピュータ将棋選手権 (MYCOMジャーナル)

この電話インタビューが、これまでの将棋ソフトの常識を覆すような驚きの内容の連続だった。まず、これまで将棋ソフトの開発者といえば、開発者自身もある程度の棋力を持つというのが常識だったが(一例として、「激指」開発チームの鶴岡慶雅氏がアマ初段程度の実力だとか)、保木氏は何と「やっと最近矢倉囲い(将棋の序盤における基本的な駒の配置の一つ)を覚えました」という程度の棋力しかないという。しかも「Bonanza」の開発に当たっては、これまで学会等で発表されてきたコンピュータ将棋関連の論文等は「ほとんど読んでいない」とのこと。
 
ではどうやって「Bonanza」を開発したかというと、ベースとしてコンピュータチェスに関する英語の論文を参考にしたうえで、ネット上で入手したという約6万局の棋譜データを元に、現在の局面の評価や次に指すべき手の優劣の比較に使用する「評価関数」を自動生成するという手法を取ったとのこと。また指し手の探索手法は基本的に「時間の許す限り全数探索」となっており、多くの将棋ソフトが用いる「定跡データベースとの比較によるポイント化」や「不利になる可能性が高い選択肢については読みを途中で打ち切る」といった機能はない。終盤における詰みを探すための「詰め将棋ルーチン」も搭載されていないという(「チェスのソフトにはそんなものはないので付けていない」とのこと)。

昔、『ASCII』誌のコンピュータ将棋の記事を読むのが好きでした。
定跡や詰め将棋ルーチンの搭載は、演算効率でいえば正解なのでしょうが、AI的には堕落という気がします。
「Bonanza」のアプローチは、コンピュータ将棋界に新しい風を吹き込むのでしょうか?