米国自動車産業の空洞化

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2007年を斬る: 自動車産業に「8つのシフト」 (ニュースを斬る):NBonline(日経ビジネス オンライン)

北米ではかつてカラーテレビで起こったことが自動車でも起こりかけている。生産の空洞化である。今、GM、フォード、ダイムラークライスラーの「ビッグ3」は、中国やインドなどのLCC(Low Cost Country)と呼ばれる低コスト国からの調達を数兆円規模へと急増させつつある。UAW(全米自動車労組)がいなかったらとっくに生産拠点も低コスト国へシフトさせていたはずだ。
 
消費地生産を目指して米国の現地工場に投資しているのはアジア系メーカーだけである。10年後、北米から米国メーカーの生産拠点は消滅しているかもしれない。その時、アジア系メーカーは現地生産のメリットを見いだせずに北米に設備投資をしたことを後悔することになるだろう。

北米での現地生産を、単に日米摩擦対策としか考えていないなら、後悔することもあるかもしれないけど、日本メーカーのいう「需要のあるところで生産する」というのは一種の哲学だと思う。

自動車の「デジタル商品」化も面白い意見だけど、クルマ自体の価格が年率20%で下落する訳じゃない。 カーナビや危機回避・衝突軽減装置のオプション価格の下落、または標準装備化がますます進むだろうとは思う。

「軽自動車シフト」が販売形態の見直し(流通再編)を引き起こすというのも興味深い。 最近はホームセンターで自動車整備場を設けるところが多い。 いずれこういうところで軽自動車を売るようになるだろうね。 メーカーとタイアップして「カインズホーム・オリジナル仕様」とか作って。
これには先例があって、ホンダは汎用機(発電機とか小型耕運機とか)で自社の汎用販売店とは違うホームセンター仕様を出して売っている。

でも、軽自動車は業販店での販売比率が多いので、特にスズキとダイハツではこういう動きは取りにくいだろうね。 シェアトップ企業自らが業界のルールを変えるような行動は取りづらいものだし。 三菱自なんか軽を取ったら販売店に何も残らないし。 マツダ・日産は借り物だから自社販売網で売らなきゃ意味がない。 そう考えると、ホンダとスバルが一番可能性が高いかな。 廉価版の軽として売っているThat'sをホームセンター向けに60万円くらいで出すとかさ。