覇権を巡る愚かな議論 (J・W・チャイ「コスモポリタンの眼」):NBonline(日経ビジネス オンライン)
私は、トヨタの成功は3つの「神話」が支えてきたと考えている。
第1は、1960年代後半から14年にわたって社長を務めた豊田英二氏の時代に創り上げた品質神話だ。これが「トヨタのクルマは壊れないから、下取り価格が高い」というリセールバリュー神話につながった。
第2が豊田章一郎氏から、豊田達郎氏、奥田碩氏の時代にかけて築いた「レクサス神話」である。この成功で、大衆車しか作れないと考えていた米国の消費者はトヨタの見方を180度変えた。
そして第3が奥田氏から張富士夫氏の時代にかけて創り上げた「ハイブリッド神話」だ。これによって、トヨタは品質に加えて、「環境のトヨタ」というもう1つのブランドを手に入れた。
事実上の世界一となったトヨタは、これから4つめの神話を創り出さなければならない。それが現在の渡辺捷昭社長以降に問われている課題だろう。その神話とは何か。追われる立場となったトヨタが目指さなければならないのは、これまでとは次元が異なる課題だろう。
それは一言で言えば、世界一としての「品格」を備えることだ。世界中の途上国で起きている環境問題や、自動車の安全性の問題などに、トヨタがどんな解を出すか。そこでもう1つの神話を築けるかどうかが、トヨタが自動車産業の盟主の座に就けるかどうかの試金石になる。
「品格」ねぇ。 一番縁がなさそうなワードなんだけど。
それよりももっと根源的な神話は、トヨタ生産方式だろうね。
だけど、どうだろう?
正直言って、「後出しジャンケン」で勝ってきたトヨタが、世界の自動車業界を引っ張るような存在になれるかは、甚だ疑問だけど。
トヨタの世界一は当分続くでしょう。 もしかしたら徳川三百年よりも永く続くかもしれない。 たとえ石油がなくなったとしてもね。
でも、自社の利益より世界の繁栄というような広い視点よりも、幕府体制維持に汲々とした徳川時代の内向きさを感じるのだけどね。