ホンダが電気自動車を見限った理由

原燃料高、燃料電池車などエコカー開発で克服――ホンダ・福井威夫社長(上) | NIKKEI NET 日経Ecolomy:インタビュー - インタビュー

――ホンダにとって、排ガスや二酸化炭素(CO2)排出抑制など、環境に配慮した「究極のエコカー」はどんなイメージですか。
 
まずCO2が地球温暖化の主因であるということを前提にしないといけないと思います。いろんな学説があってCO2と地球温暖化は無関係だと主張する人もいる。でも関係ないのであれば、それはそれで幸いなこととして横に置いて、CO2が地球温暖化の主因であるという前提でものごとを考えないといけません。
 
CO2が地球温暖化の主因であるということを前提にすると、自動車メーカーの未来は化石燃料をあてにしない乗り物を生み出せるかどうかにかかっている。エネルギー源を何に求めるか、原子力に様々な問題がある中で、太陽光エネルギーしか残されていないのです。
 
そして太陽光エネルギーを仲立ちする位置づけとして、ホンダはセルロース系バイオエタノールと水素が大きなカギを握ると考えています。
 
この2つをいかに容易に生み出す技術を開発するか。我々は、太陽光を使って生成した水素で動く燃料電池車と、太陽光エネルギーで育ち植物を原料とするバイオエタノールを原料にしたバイオカーが究極の環境技術だと考えます。

原子力発電の夜間電力を使う前提の電気自動車なんて許せねえ」って言ってるようにも聞こえます。 電気自動車を推進する三菱自や富士重が、電力会社とタイアップしているのと対照的ですね。

このインタビューを読むと、理想主義で絵空事ばかり言ってるように感じるかもしれませんが、理屈の上では福井社長の言う通り、「水素を作る過程でCO2を出さない技術を開発できない限り、化石燃料を使わずにエネルギー源を人類が手にすることはできない」んですよね。

話は変わって、タタ・モータースの「ナノ」について。

――5月の記者会見で、インドなどの新興国市場では二輪車を強化することでタタ自動車などの超低価格車に対抗する、と表明しました。
 
原材料価格がこれだけ上がっている時期に、あの低価格車戦略はそぐわないと思います。たとえばインドで売っているホンダの二輪車は、重量100キログラムで、価格が10万円です。
 
車重100キロで10万円。同じコストで仮定してみてください。自動車の車重は最低600キロはありますから、60万円以上で売らないとペイしない。それを超低価格車は30万~40万円で売ると言っていますが、利益を出すのは難しいのでは。
 
ホンダはインドで「シティ」を販売していますが、車重が1.2~1.3トンある。100キロの二輪車比で重さが12~13倍ですが、シティの価格は200 万円。つまり二輪車よりも付加価値を高めて売っている。だからこそ、原材料価格が多少上がっても価格柔軟性があるので吸収してくれる。そう見ると、車重 600キロで30万~40万円のクルマが成立するのは難しいと思います。

キロあたりいくら、というのは乱暴に聞こえるかもしれませんが、同じ材料ならキロあたりのコストは高級車でもバイクでも変わらないので、ある意味真実です。
個人的には、タタの心意気は買うけどな。 同じバイクでも、中国のコピーバイクならホンダの半分以下の価格なんで、そのキロ単価を当てはめれば600kgのクルマでも30万円で売れるかもしれません。

「先進創造」なくして地球環境保全はない――ホンダ・福井威夫社長(下) | NIKKEI NET 日経Ecolomy:インタビュー - インタビュー

――「エコ」「燃費」ばかりが注目されていますが、クルマの楽しさは今後どうなっていくのでしょう。
 
環境はメーカーや国家が考えるべきテーマですが、ユーザーはむしろ楽しさとか経済性を重視します。 「楽しさ」をちょっと横に置いて考えてみると、原油高で「経済性」と「エコ」が完全にリンクしました。
 
ユーザーは地球環境がダメになるからクルマに乗らないのではなくて、ガソリンが高いから乗らないのです。
 
だからメーカーは燃費をよくして、地球環境にもいいということをアピールする。ただ燃費改善だけではダメで、モビリティーとしての有用性や商品としての楽しさを付加しないといけません。
 
環境にいいことだけを追求するならば、クルマはないほうがいいに決まっています。でもそう考え出すと、最後には人間の存在さえも危うくなる。
 
あくまで主体は人間。原点として人間の楽しみを追求しながら、そのためにネガティブな要素を最小化していくという考え方です。

理想を追求しながらも、人間の欲望を否定しないところがホンダらしさ(というか本田宗一郎らしさ)といえるかもしれませんね。