Googleには出来ないカーナビ

[カーマルチメディア・インサイダー] 本田技研工業 インターナビ推進室室長 今井武氏インタビュー レスポンス | Response. 

---- 今回のインターナビは個々のサービスそのものにも注目ポイントが多々あるのですが、それ以上に「大きな転換点だ」と感じたのが、ルート計算をするのが(クルマ側の)カーナビ端末から、(ホンダ・インターナビセンターの)サーバー側に移ったことだと感じています。これはまさにGoogleやIBMが提唱しているクラウド・コンピューティングの世界観であり、そのクルマ版と言えます。インターナビでは、この“サーバーへの転換”をいつから意識されていたのでしょうか。
 
今井 実は以前からインターナビのサーバー側では、『こう行くべきだ』という最適なルートのシミュレーションは行っていました。それをもってカーナビがローカルで引くルートと比べると、どうしても(ローカルで)いいルートがでない。例えば、交差点の右左折などはローカルのカーナビでは一律の想定時間で演算していますけれども、サーバー側でフローティングデータを見れば、一律であるわけがないのです。交差点ごとや車線ごとに通過時間が違う。こういった膨大なデータを鑑みて、より精度の高いルートをお客様に提供するには、いずれはサーバー側でルート計算する仕組みが必要になると考えていました。

レジェンド搭載のインターナビって、そういう物だったのですね。 「燃費がいいルート」とか「景色がいいルート」などの印象が強かったので、「ネタ切れか?」と思っていたのですが、まさに新世代と言っていいかも。

そのうち自動車メーカーやカーナビメーカーは、大規模なデータセンターを建設するようになるのでしょう。 独力では出来ないメーカーは、合従連衡しないと生き残れませんね。

---- ところで、フローティングデータの収集スキームを見ますと、今回発表されたインターナビから、ECUからの情報もかなりの精度で集めるようになっていますね。
 
今井 はい。具体的には、単位時間あたりの燃料噴出量情報をリアルタイムで集めて、それを地図上にマッピングできるようになっています。これは自動車メーカーにしかできないフローティング情報でして、今後、これが集まりますと、道路ごとに「クルマがどれだけ燃料を噴出したか」がわかります。つまり、アクセル稼働が統計化できるわけですね。
 
---- それが地図上に付加されて、しかも車種ごとの燃料噴出量の変化まで見られるとなると、ものすごい価値のある情報になりますね。それは他社には提供しない、と。
 
今井 絶対に出さない。死んでも出しません(笑)

将来、Googleがカーナビに進出する可能性もありますが、フローティングカーのデータを入手するには、自動車メーカーと手を組まないと難しいでしょうね。 トヨタ、ホンダ以外のメーカーが、Googleと組む可能性はあるかも。