コストメリットを考えない環境技術は普及しない

原点に立ち返り、危機と戦う ホンダ・福井威夫社長:日経ビジネスオンライン

問 3年くらい前には、中大型車では低公害のディーゼル車に注力する方針を掲げていた。ハイブリッドを小型から中大型まで展開するという新しい戦略は、正直言って「変わり身が早い」という印象もある。
 
答 当時の方向性は間違いだったとは思っていない。しかしその後、本格的に新型インサイトを開発し始めた。その中で、ハイブリッドのコストポテンシャルが分かってきた。同時にディーゼルもやってきたが、日米の様々な規制への対応や商品としての可能性を改めて評価し直した。結果的に今の段階で、日米でディーゼルを出すリスクは、非常に大きいと再認識した。合理的に考えて、方向転換している。
 
欧州ではディーゼルはちゃんと残る。大きいものだけではなく、小さいディーゼルもある。ただ(ハイブリッドと比べた)位置づけは弱くなった。ディーゼル燃料はガソリンと比べて、価格が高騰して、燃費の優位性がない。それでも相変わらずディーゼルの生き残ることができる領域はある。

西欧でディーゼル車が普及したのは、ディーゼル車の改善も重要でしたが、当時は軽油が安くてコストメリットがあったからです。

NIKKEI NET(日経ネット):欧米各国の軽油価格、ガソリンを上回る 低燃費車シフトで

欧米でディーゼル車に使う軽油の価格が、ガソリン価格に比べて高くなる国が相次いでいる。12月中旬時点で欧米主要18カ国の半数以上で1リットル当たりの軽油価格がガソリン価格を上回った。米英では価格差が広がっている。今年半ばまでの燃料費の高騰を危惧した消費者が、より燃費のいいディーゼル車を積極的に購入したためだ。
 
これまで多くの国で、軽油の方がガソリンより安かった。英国の交通情報会社AAが12月15日を基準としてまとめた自動車用燃料価格によると、欧米主要国18カ国では軽油がガソリンを上回る国は10カ国と、1年前の4カ国から大幅に増えた。イタリア、スペイン、オーストリア、アイルランド、スウェーデン、ノルウェーなどで価格が逆転した。

ディーゼルの方がガソリンエンジンより熱効率がいいのは確かですが、もしも燃料代が同じと仮定すると、車両価格の差額を取り戻すのはかなり難しいでしょう。