検死結果

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グリップヒーター着けようと思ったんですが、犬の散歩行ったり買い物に行かなければならなかったりで、本日は作業出来ず。 明日は有休なのでやりたいな。

鑑定結果の後編です。 今回はクランクケースについて見ていきます。

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Rクランクケースの外側です。 クラックなどは見当たらず。 オイルポンプは外して使います。
キックシャフトもそのまま使えそうです。 キックを使わない自分にとっては無用のものですが。

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実はこれが一番知りたかったケース側の穴径。 エンジンの水平方向で57mm(ガスケット有)、垂直付近で56.7mmでした。 もっと小さいのかと思ってたんですが、意外に大きいんですね。

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Lクランクケースの外側。 こちらも問題なし...んん!?

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なんとオイルポンプ駆動用のカムチェインガイドスプロケットが、摩滅して坊主になっています。 いったいどうして、このようなことになってしまったのでしょうか?

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原動機番号は「HA05E-000080」。 ほとんど初期ロットといっていいくらいですね。

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Rケース内側。 ろくにオイル交換もされないで使われていた感じですね。

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同じくLケース。 でも汚れさえ落とせば、再利用は可能なレベルです。

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面白いと思ったのは、シリンダスカートが入る穴は機械加工ではなく、鋳抜きされたままなんですよね。 そしてLクランクケースの上側スタッドボルト付近だけ、0.5mm程度の段差があるんです。 ですから、実質的には直径56mm相当の穴ということになります。


以上で検証は終わりですが、最後になぜこのエンジンが死亡したのかについて考えてみます。

まずオイルを交換しないで、長期間使われていたのは確かでしょう。 そしてカムチェインガイドスプロケットが摩滅して空回りするようになり、オイルポンプがほとんど駆動されなくなります。

クランク軸を通ってコンロッド大端ベアリングへ送られるオイルも足りなくなり磨耗。 最終的には、シリンダーを潤滑するオイルも不足して、エンジンが焼き付いたのではないかと思います。
実は入手した部品以外にも、同じ出品者からヘッドとLクランクケースカバーが出品されていたんですが、シリンダーとピストンだけ出品されていないんです。 出品できるようなコンディションではなかったのでしょう。
そして走行中に焼き付いた為に、転倒してシーソーペダルを強打したのではないか、と推測します。


ところでクランクシャフトですが、明日、125ccエンジンのクランクシャフトの分解組み立ての依頼で井上ボーリングに行くので、相談してみたいと思います。
新品のクランクを使うのは簡単ですが、まだ再生できるのに捨ててしまうのは可哀想なので。